コラム | COLUMN

映画というのはエンターテインメントとして観ても楽しいですが、視点を変えて観るとビジネスの気づきの宝庫です。特にセリフ。映画の中にはたくさんのすばらしいセリフがあります。このコラムはそのセリフに焦点を当てました。映画のセリフで気づく、ビジネス成功のヒントです!それでは、そろそろはじめましょう。

映画のセリフで気づくビジネス成功のヒント~第1回

取り上げる映画:「キッド」

「The Kid」 ジョン・タートルトーブ監督 アメリカ 2000年

2008-05-01

ビジネス成功のセリフ:「大事なのは夢に近づく努力」

キッド

今回取り上げた映画は「キッド」です。
ウォルト・ディズニーの映画で、ハートウォーミングな映画。
面白いです。
 主人公のラスティ(ブルース・ウィリス)は、数日で四十歳になるところ。
仕事はイメージ・コンサルタント、つまり芸能人やスポーツ選手などが売り出すために必要なイメージをつくり上げる仕事です。
服装、色遣い、髪型、言動、「こういうコトバを使うな」ということについて演出するコンサルタント。
とっても儲かっている。そして女の人にもモテモテなんだけれど独身。

いわゆる成功者です。

厳重に警備されているものすごく広い邸宅に住んでいる。
仕事もとてもうまくいっている。

 でも四十歳になる直前に、不思議なことがどんどん起こるんです。
ある日、デブの子どもが突然家にいるんです。
それはなんと! 八歳の頃の自分自身。

 初めて彼の家に八歳の自分が現われたとき、ラスティは幻覚だと思うのですが、どんなことしてもデブの子どもは消えない。

八歳の彼が持っているおもちゃの飛行機は、三十数年前に、お母さんがクリスマスにプレゼントしてくれた宝物だった。
ある事件があって、それから三十年間ずっと放ったらかしておいたんだけれど、その飛行機が突然現在の彼のもとに現われたんです。
彼は、それは父親が持ってきたものだと思っている。

 父親との関係。
 恋人との関係。
 仕事との関係。
 過去との関係。

子ども時代の自分が今の世の中に現われて、それをきっかけに彼はいろんなことを思い出していく。
そして、トラウマを解決して、大切なものを思い出し、それを実現するっていう
そういうお話です。
当前、ディズニー映画だからハッピー・エンドですよ。

 すごく面白いシーンがあります。
子供の頃、彼はパイロットになりたかったんです。
でも現実にはイメージ・コンサルタントになっている。
八歳の彼が、それを知ったときに言うセリフです。

「僕は四十歳て独り者
 パイロットでもなく
 犬も飼ってない・・・
 僕は負け犬なんだ・・・」

 とっても成功しているのにもかかわらず、八歳の自分にとってみたら、夢がかなっていない。

 このシーンを見て、ボクはドキッ!としました。
 そして、「これって、現代のビジネスに携わっている人にとって、すごく重要なことなんじゃないか?」そう思ったんです。  それはどういうことかというと・・・

子どものときにどういう大人になりたかったのか、って考えてみる。
ボクは今、マーケティング・コンサルタントという仕事をしています。
映画の八歳のラスティに言わせると、「自分では何もしないで、人に命令してやらせる仕事」をしている。
もし八歳のボクがここに現われたら、ボクは子供の頃の自分に今の仕事を誇れるかなな?
この映画を見たときからずっとそれを考えていた。

そして、そう考えることはとっても大切なことだと思うんです。
 あなたが今やっている仕事を八歳のときの自分が見たら、本当にいい仕事だって言えるか?
どうですか?

 僕も子どもの頃はいろんなことをやりたいと思った。
幼稚園の誕生会のときに先生に聞かれました。
「マー君は大きくなったら何になりたいの?」
ボクは「鉄人28号をつくる博士になります」って答えた。

 「鉄人28号」というアニメがすごく好きで、毎週ワクワクして見ていた。
そしていつも考えていた。
「鉄人28号って、リモコンを悪者に奪われちゃうといきなり悪役になっちゃってかわいそうだな」と思った。
だから正太郎君という主人公がリモコンを奪われないようにって、いつもハラハラ、ドキドキして見ていたんです。
 そしてあるとき考えたんですね。
これスゴイなあ。
この中で一番偉い人は誰だろうって。
鉄人28号中心にこのスゴイお話があるんだから、この鉄人28号をつくった人が一番偉いんだと思って、「これをつくった博士になります」って言ったんですね。

幼稚園生としては、けっこう深く考えていた。
結局、正義の味方のロボットを作る博士にはならなかったけど、今の仕事は誇りをもってやっています。

 ボクが今やっている仕事は、八歳のボクが今ここに現われたとしても、その子に対して誇れると思う。

でもこの映画の主人公は八歳の彼と接しているうちに、今の仕事に対していろんな疑問が湧いてくるんです。 本当にこの仕事をしていていいのかとか、
本当に俺がやりたい仕事だったのかとかね。

ビジネス的にはものすごく成功している。
でも、たいせつなものを忘れてきたんじゃないのかと考え始めて、自分の心の中をのぞいていく。

 八歳の彼が主人公に質問するシーンがあります。
自分のその後のことを聞くんです。
「勉強はできたのか」とか「今いじめられているけど、これからどうなるの」とか。

子供の頃の自分と話しているうちに、主人公は疑問をどんどん持ち始める。
本当は何がやりたかったのか。
本当に今の仕事をやりたいのか。

 後半は、それを解決していく話になっていきます。

悩んだ主人公は、女友達に相談するんですね。
その女性が主人公に聞かれるんです。
もし子供の頃の自分が現れたら、

「君なら、どうする?」

彼女は言います。

「わたしならこう言うわ
 “何も心配しないで”
 “すばらしい未来だから”」

それにつづけてこう言うのです。

 「子供の頃の夢を実現できる人は少ないわ。
  宇宙飛行士になれる子供が何人いると思う?
  バレリーナになる夢だって。
  大事なのは夢に近づく努力。」

ボクたちは子供の頃、たくさん夢をもっていました。
それは今、叶わなかったかもしれません。
でも、形を変えて夢はつづいているのです。

あなたは、子供の頃、どんな夢をもっていましたか?

もし今、子どものときの自分が現われたらと考えてみてください。

 「キッド」は、

 夢ってなんだろ?
 仕事って自分にとってどういう意味があるのだろう?

そういうことを問いかけてくれる映画です。

 今の仕事に疑問を感じたら。
 今の仕事が嫌だなって思ったら。

 週末にでも、レンタルショップに行って、借りて観てください。
 きっと何か大切なことを思い出すでしょう。
そして、心が軽くなって、あなたの仕事にも何か「ちがい」が出てくる。 そう思います。

「大事なのは夢に近づく努力」


Text by 藤村正宏(Masahiro Fujimura)