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「ぼくたちは習慣で、できている。」 佐々木典士 著

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第64回

「ぼくたちは習慣で、できている。」
佐々木典士 著

ワニブックス / 1,200円 税別

2018-08-27

ミニマリストの著者が実践した“習慣”を身につける方法とは……? 50のステップとともに、習慣に意味と意義を問う。

なぜ自己肯定できないのか


ミニマリズムを暮らしで追求した著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』がベストセラーとなった佐々木典士が記した本書。

初の著作が話題を呼び、海外21カ国で翻訳されるまでに成功した佐々木氏は、その後、空虚さに襲われるようになったといいます。

そしてお酒を飲み過ぎては凹み、仕事に手応えを感じられなかったといっては凹んでいました。

「幸福はお金とは違う」

そう感じた佐々木氏は、自己肯定感のなさが原因だと考えるようになります。

そこで見直したのが“習慣”です。

目の前の誘惑に勝てるかどうか


新年になると、これからの一年の目標を立てる人も多いものです。しかし、2014年に行われたある調査によれば、新年の目標が達成される可能性は8%に過ぎないのだとか。

著者も毎年、達成できずにいました。「自分は意志が弱いと思っていたが、そういうことではないのだ」というのが、この本の起点になっています。

心理学者ウォルター・ミシェルが行った有名な「マシュマロ・テスト」をご存じでしょうか。1960年代にスタンフォード大学のビング保育園で子どもを対象に行われた実験です。

簡単に説明しますと、子どもたちに次の二つを選ばせます。

A)目の前のマシュマロ1個をすぐに食べる。
B)マシュマロ1個を食べずに、研究者が戻るまでの最長20分間、一人で待てばマシュマロが2個もらえる。

テストで待てた時間は平均6分で、三分の二の園児が待てずに目の前にある1個のマシュマロを食べました。残りの三分の一は待つことができて、2個のマシュマロを食べることができました。

この園児たちを長年にわたって追跡調査したところ、待てた秒数が長いほど、共通テストの成績が高かったそうです。さらに大人になっても肥満率が低く、健康状態も良好でした。

こうした自己コントロール能力(=意志力)が、行動や習慣を左右していきます。

やる気を出すにはハードルを下げる


意志力は、環境に左右されます。たとえば、先の実験なら、マシュマロを見続けていると失敗してしまいます。神経伝達物質のドーパミンが働いて、「これが欲しい」と何度も思わせるからです。

そうした誘惑の回数をできるだけ減らして、「ほとんど考えずにする行動」に導くのが習慣だと著者は述べています。ダイエットのために甘い物を控えるなどは、まさにこれですね。

本書では、実際に著者がどのようにして早起きや筋トレ、10kmのジョギングなどの習慣を身につけていったが50のステップで紹介されています。

とくに印象に残ったエピソードは、「人がSNSにはまりやすいのは“いいね”という報酬が早くもらえるから」「下げるハードルは3種類」「身につけたい習慣をルーチンの行動と結びつける」など。

「これならできそう」と思う施策がいくつも出てきます。習慣は強い意志だけではなく、テクニックでも身につけることができるのだと勇気づけられる一冊です。

(編集部)