コラム | COLUMN
日常をポジティブに変える〜究極の持久力  鏑木 毅 著

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第61回

「日常をポジティブに変える〜究極の持久力」
鏑木 毅 著

ディスカヴァー・トゥエンティワン / 1,500円 税別

2018-05-21

50歳で100マイルレースに挑むアスリートが実践する心と体の調整法。

持久系スポーツから見いだしたコンディショニング


企業の経営者にはマラソンやトライアスロン、自転車競技、トレイルランニングなど、趣味で持久系スポーツに取り組む人が多くいます。

こうした持久系スポーツでは、身体的なパフォーマンスの向上や維持はもちろんのこと、メンタルの強さも大きな鍵となります。

著者の鏑木毅氏は、山岳地帯を走るスポーツ「トレイルランニング」の日本における第一人者。40歳のとき、ヨーロッパのモンブランを舞台に繰り広げられるレース「UTMB」で、日本人で初めて3位に入賞し、表彰台に立ちました。

その後も年齢にも負けず競技を続け、50歳となる来年、再びそのUTMBに挑みます。

鏑木氏が日常どのように身体や心をコンディショニングしているか、どうモチベーションを維持しているかなどを綴っています。

59歳で世界一位に輝いた選手から学んだこと


10代の頃から陸上競技に励んできた鏑木氏は、37歳の頃から少しずつ体の衰えを感じ始めたといいます。そして38歳のとき、世界最高峰のレースUTMBに初出場する機会を得ます。

フランスで毎年開催されるこの大会は、自転車ロードレースでいえばツール・ド・フランスにあたるような世界中のランナーが憧れる舞台です。

その大舞台に初挑戦した鏑木氏は、あまりの過酷さに失神寸前の状態に陥ります。結果は12位。決して満足のいく順位ではなかったものの、ゴールの達成感はそれまでに感じたことのない大きなものでした。

そして、自らの人生に大きな影響を与える人物と出会います。優勝者のイタリア人、マルコ・オルモ選手です。

彼はこのとき59歳。自分よりも20歳も年上の選手が優勝したことに衝撃を受けました。

「マルコ・オルモ選手の強さには秘密があるはず」と考え、これ以降、年齢に打ち勝つ肉体的、身体的なコンディショニングを追求していくようになります。

オルモ選手から学んだのは「持久力は何歳になっても伸ばすことが可能である」という事実でした。

試行錯誤を重ねた鏑木氏は、それから2年後のUTMBで3位を記録します。

疲れた脳を解放させる


本書では約10年に渡る探求から見えてきた鏑木氏なりの「持久力向上」の方法論が紹介されています。自らの身体を実験台にして見いだした方法論です。
大きく6つの章で構成されています。

第一章の「疲れない身体のつくり方」では抗酸化の重要性を説き、アスタキサンチンなどの摂取により、体脂肪の燃焼効率を上げる方法を紹介しています。続く第二章の「体質を変える食事法」では低糖質について記しています。

第三章の「持久脳のつくり方」は、箱根駅伝を目指していた学生時代に「心が弱い」と評価されていた著者が、24時間かけて100マイルを走る過酷なレースによって身につけた「苦しみへの鈍感力」について記しています。

心も筋トレのように鍛えることが出来る、と鏑木氏はいいます。その根底にあるのは、10代、20代での大きな挫折経験。「敗北を知る者ならではの強さ」は、アスリートでなくても共感する部分があるでしょう。

ほかにも、疲れた脳を解放させる方法として「日常の仕事と全く別のベクトルのことを行う」という習慣にも触れています。

プロトレイルランナーという職業柄、山の近くにいるとどうしてもレースや走ることを考えてしまうため、脳を休ませるために意識的に海に行ったり、釣り堀に出かけたりするのだとか。

ほかにも、「本番力をつける」の章にある「心の中にメトロノームを持つ」や「ポジティブスイッチの入れ方」など、ビジネスシーンでも役立つ方法論が多数紹介されています。

体と心の相互作用についても学べる一冊です。

(編集部)