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「ニッポン定食散歩」 今 柊二 著

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第58回

「ニッポン定食散歩」
 今 柊二 著

竹書房 / 800円 税別

2018-02-19

しみじみ旨い庶民派定食を食べ歩く著者による東京近郊の定食案内。営業の合間に、出張のランチにぴったりのガイドエッセイ。

街の移り変わりと定食屋さんの関係


“定食評論家”として首都圏をはじめとする全国の定食や立ちそばを研究する今 柊二氏よるガイド本です。

1986年に四国から上京して以来、東京の定食屋さんを探索してきたという著者。第一章では山手線沿線の店を紹介しています。

山手線沿線の駅周辺は、長年あまり変化のないエリアもあれば、渋谷駅のように近年で大きく変化を遂げたエリアもあります。本書では街の移り変わりとともに、新旧織り交ぜた店を紹介しています。

ちなみに、本書の中で今氏が定義する定食とは「ご飯+おかず+汁」で構成される食べ物のこと。一番大事なのは「ご飯」で、汁がない場合は水が代役を果たしてもいいというくらいのざっくりとした括りです。

変わらない味のロールキャベツシチュー


たとえば新宿駅では、紀伊國屋書店新宿本店近くにある「アカシア」が紹介されています。昭和38年にロールキャベツシチューのお店として開業した老舗の洋食屋さんです。いまでは羽田空港にも支店があるので、ご存じの方も多いかもしれません。

今氏はこれまでも定食本を書いていて、記念すべき一冊目の『定食バンザイ!』(ちくま文庫)でもこの店を紹介しているそう。

ロールキャベツシチュー二貫とライスという、これ以上ないくらいシンプルな構成で850円。

この本を読んでいて、私も学生時代に一度このお店でロールキャベツシチューを食べたことがあるのを思い出しました。意外に塩気が効いていた記憶があります。今氏も、食べ進めているうちに口の中にしょっぱさが蓄積していく感じがアカシアらしさ、と記しています。

山手線沿線の渋い定食屋さん


ビジネスマンの多い神田駅では、駅前にある「三州屋」という居酒屋さんが紹介されています。

この店はほかに新橋や銀座などにもあり、夜は仕事帰りのビジネスマンで賑わうため、訪れたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

割烹着の婦人に今氏がオーダーしたのは「いわしの煮付定食」(850円)。いわし二尾が関東風の甘しょっぱい味に煮付けられていて、そこに豆腐と三つ葉の赤出汁、ご飯、白菜のお漬け物がつきます。

山手線沿線で個人的に気になったのは有楽町の「いわさき」。大正年間の創業だそうで、現在のご主人は3代目なのだとか。

今氏がここでオーダーしたのは「メンチカツ定食」(600円)。小判型の美しいメンチカツにキャベツ、ワカメと三つ葉と揚げ玉の入ったお味噌汁、ご飯、切り干し大根とお漬け物という構成。

有楽町で600円でいただける正統派の定食屋さんがあることに驚きです。

もうひとつ気になったのは新橋の汐留口にある「さかな亭」。名前のとおり魚が美味しいことで評判だそう。ビジネスマンの聖地であり、定食選びでも選択肢の多い新橋にあっても、評判が高いといいます。女性客が多いのも特徴です。

ここで著者が注文したのは「刺身定食の大盛り」(900円)。お刺身の盛り合わせ、青菜のお漬け物、キャベツの味噌汁にご飯という構成。お刺身はたっぷりのカンパチ、マグロ、サーモン、ネギトロです。ほかに焼き魚も人気のようです。

すべての人に平等な定食


第二章は洋食巡りで、ここでも巣鴨、早稲田、錦糸町、明大前駅など、仕事で近くに行ったらぜひ訪れてみたい洋食の店が紹介されています。

第三章では男性に人気の高いメニュー「生姜焼き」の店をフィーチャーしています。そのほかチェーン系の定食屋&中華屋や、全国で食べ歩いた定食、立ちそばの店が紹介されています。

本を開くと冒頭にあるのがこの言葉。

「定食の前に人は平等である」

まさに、それを実感する楽しい一冊。外周りのお供にいかがでしょうか。

(編集部)