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百歳まで歩く

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第55回

「百歳まで歩く」
田中尚喜 著

幻冬舎文庫 / 457円 税別

2017-11-20

筋肉に引退なし-------。30年後、40年後もしっかり歩くために中高年から始める筋肉習慣。

筋力低下は45歳以降は横ばいに


理学療法士である著者の田中尚喜氏は、中高年以降こそ筋肉を鍛える習慣を身につけるのに適しているといいます。

というのも、身体の柔軟性は20歳から45歳くらいまで段階的に低下するものの、それを過ぎると低下が横ばいになるからだとか。

本書では、中高年以降から筋力を維持するための筋力習慣が紹介されています。

筋肉は大きく3種類に分けることができます。内臓を動かす平滑筋、心臓を形成して収縮運動で心臓をポンプのように動かす心筋、関節を動かす骨格筋です。

移動や姿勢など、私たちが意思を持って運動動作を行うことで動かすことができるのは、骨格筋だけです。骨格筋である筋肉は、全身に約400個もあるといわれていて、体重に対して占める割合は男性で約1/2、女性では約1/3です。

鍛えるべきは「遅筋」


筋肉は瞬発力のある「速筋」と、持久力がある「遅筋」に分けられます。速筋は素早く収縮することができる太くて大きな筋肉で、疲れやすい特徴があります。一方、遅筋はゆっくりと収縮する小さな筋肉で、筋肉痛を起こしにくく、疲れにくいのが特徴です。

これらは各筋肉の部位に霜降り状に混在しています。

そして、中高年から鍛えるべき筋肉は「遅筋」。座る、立つ、歩くといった日常動作に必要な筋肉は、速筋よりも遅筋が中心になるからです。

遅筋は小ささを補うために、筋肉を構成する一本ずつの筋繊維が特殊な形状をしており、速筋より筋繊維の量も多い構成になっています。そのため、速筋に比べて柔軟性があり、遅筋を中心に使うトレーニングやスポーツは怪我もしにくいといわれています。

筋肉は貯金できない


25歳を境にして、白血球の中にある免疫細胞の数が減り、年齢とともに抵抗力は弱まっていきます。また、脳細胞の数も減っていきます。ところが他の細胞とは異なり、筋肉の数は加齢の影響を受けにくく出来ています。

かつてスポーツマンだった人が年齢とともに「筋力が落ちた」と感じるのは、毎日の活動量が減り、それに伴って筋繊維が細くなってしまったから。筋肉の強さは太さに比例しますので、良く使って動かすことで太くなり、筋力低下を抑えることができます。

いいかえれば、若いときにどんなにアスリートであっても、その後に筋肉を使っていなければ筋肉はつきません。筋肉は貯金できないので、常に動かし続けることが大切なわけです。

年代別のおすすめトレーニング


ここではとくに30代〜60代までと、70代以降に分けておすすめのトレーニング方法を紹介しています。

30代〜60代では「大臀筋」「大胸筋」「ヒラメ筋」を鍛えるエクササイズを、70代以降は「ハムストリングス」「腸腰筋」のエクササイズをすすめています。

いずれにしても頑張りすぎず、毎日、あるいは隔日で少しずつ継続することが大事。

図解で紹介している大臀筋のトレーニングを見てみましょう。

仰向けに寝て片足を曲げて床につけ、もう片足は膝を伸ばしてまっすぐ上に上げていきます。このとき、大臀筋を意識します。この状態でお尻を3秒キープする動作を3回繰り返します。もう片方も同様です。

寝ながら行えるので、寝る前のわずかな時間にも取り入れやすいエクササイズです。

肥満防止には「背筋」を鍛える


また田中氏は姿勢の重要性についても言及しています。姿勢の崩れは背筋の低下から起こります。「ねこ背」や「体型の崩れ」は、背筋が衰えることで起こるのです。

筋肉は、反対の動きをする一対の筋肉が拮抗するように配置されています。腹筋の拮抗筋が背筋で、運動や日常の動作で腹筋が縮めば背筋が伸び、背筋が縮めば腹筋が伸びます。

そのため背筋が衰えると拮抗筋である腹筋も衰え、それらが連鎖的に脚の筋肉の衰えに繋がり、全身にも影響を及ぼすのです。

背筋が衰えると基礎代謝が低下して肥満の原因になるともいわれています。「中年太り」を防ぐ意味でも、背筋に意識を向けることが重要といえそうです。

このほか、筋肉別の筋力回復トレーニングや、腰痛・膝痛の予防トレーニング、歩き方や靴の見直し方なども紹介されています。

ベーシックな内容で無理のないトレーニング方法が記されている本書。幅広い世代でロングセラーというのも頷ける一冊です。

(編集部)