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「スタンフォード式 最高の睡眠」

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第54回NEW

「スタンフォード式 最高の睡眠」
 西野精治 著

サンマーク出版 / 1,500円 税別

2017-10-16

人生の3分の1の時間が、残りの3分の2も決める!最高の睡眠を得るためのメソッド。

最先端の睡眠医学が集結するスタンフォード大学


いま、全米には睡眠クリニックが2000〜3000箇所あると言われています。それほど睡眠についての関心が高いともいえるわけです。

睡眠障害についての歴史は古く、著者の専門である「ナルコプレシー(突然眠りに落ちてしまう病気)」は、140年前のフランスの文献にも登場するのだとか。日本の睡眠障害の記録はさらに古く、平安時代の文献も残っています。

その一方で、睡眠医学についての研究はまだ新しく、1953年に「レム睡眠」の発見が転機となりました。

本のタイトルにもあるスタンフォード大学は、いち早く睡眠医学に注目した大学として知られています。1963年には「スタンフォード睡眠研究所」が設立され、そこにはクリニックも併設されています。

現在、世界で活躍する睡眠研究者の多くが、短期長期を含めてスタンフォードに籍をおいた経験があると著者は記しています。

大事なのは量よりも質


睡眠で重要なのは量ではなく質。最高の睡眠とは、脳と体と精神を最高のコンディションに整える質の高い眠りを意味しています。

睡眠と覚醒はセットになっていて、質のいい睡眠をとれば、仕事でも勉強でもパフォーマンスが向上することがわかっています。

睡眠中の脳と体では、自律神経や脳内化学物質、ホルモンが休みなく働いています。この時間をベストなものにすれば、最強の覚醒が得られるというわけです。

そのキーワードとなるのが「90分の黄金法則」。

人間の睡眠の質は、眠り始めの90分で決まります。忙しくて時間がない時でも、最初の90分をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠が得られると著者は説明します。

眠りたい時間と実際の睡眠時間の差


寝不足が蓄積していくことを研究者たちは「睡眠負債」と呼んでいます。これにより、簡単には解決しない深刻なマイナス要因が積み重なっていくのだといいます。

それは起きている時間に、1秒から10秒程度の瞬間的な居眠り「マイクロスリープ」となって現れます。この瞬間的な居眠りは、脳を守る防御本能から生じるものと考えられています。

日本人の平均睡眠時間は6.5時間。6時間未満の人は約40%もいるといわれています。一方である調査では、6時間未満の人たちも「7.2時間くらい寝たい」と感じていることがわかっています。

「眠りたい時間」と「実際の睡眠時間」には差があり、日本は諸外国に比べてその差が大きいのが実情です。

睡眠負債を返すには時間がかかる


こうして積み重なっていく睡眠負債は、週末の寝だめでは取り返せません。

平均7.5時間睡眠をとっている10人の人に無理矢理14時間ベッドに入ってもらう実験を行いました。最初の数日はみな13時間近く眠り、徐々に睡眠時間が短くなって、逆に5〜6時間ベッドの上で起きている状況が続きました。

結局、3週間後に8.2時間に固定します。これが10人の生理的に必要な睡眠時間だと考えることができます。

つまり、40分の負債を返すためには、毎日14時間ベッドに入ることを3週間も続けなければいけないわけです。

脳と体をメンテナンスする睡眠


睡眠が不足すると、集中力や思考力が低下する、インスリンの分泌が悪くなる、食べ過ぎを抑制するレプチンというホルモンが出ない、食欲を増すグレリンというホルモンが出る、交換神経の緊張状態が続いて高血圧になる、情緒が不安定になり、鬱病やアルコール依存症の発症率が高くなる、といったことが起こります。

世界で活躍するトップアスリートやビジネスパーソンは、覚醒時のパフォーマンスの質を高めるために、眠りの質をとても重視しています。本書ではそれを「睡眠メンテナンス」と呼んでいます。

人は眠りに落ちてから目覚めるまでの間に、レム睡眠(脳は起きていて体が眠っている状態)とノンレム睡眠(脳も体も眠っている状態)を繰り返します。

本書で重要視している「最初の90分」はノンレム睡眠の時間。これをいかに深くするかが眠りの質の鍵を握ります。この時間は成長ホルモンが最も多く分泌されるほか、睡眠欲求の多くがこの時間に解放されることもわかっています。

この90分の眠りを深くすることで、睡眠リズムが整い、自律神経やホルモンの働きもよくなり、翌日のパフォーマンスも上がります。

記憶の定着や嫌な記憶の消去、日中にたまった脳の老廃物の除去にも影響する睡眠。本書では鼻呼吸(腹式呼吸)、入浴やシャワーの浴び方、体温の上げ下げなど、眠りの質を向上させるための日常生活も紹介しています。

秋の夜長。さっそく「最初の90分」を意識することから始めてみてはいかがでしょうか。

(編集部)