コラム | COLUMN
「感情的にならない気持ちの整理術」

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第53回

「感情的にならない気持ちの整理術」
和田秀樹 著

ディスカヴァー・トゥエンティワン / 1,300円 税別

2017-9-19

不機嫌は免疫力も低下させる!? 精神科医が教える人生を楽にする心のコントロール法。

感情と上手くつきあっていくには?


コミュニケーションはビジネスの基本。でもどんな人でも、日々さまざまな感情が生まれては消え、常に上手くコミュニケーションが出来ているとはいえないもの。コミュニケーション力をアップするには、そうしたさまざまな感情をコントロールする必要があります。

本書では精神科医の和田秀樹氏が、自分の感情と上手に付き合う「感情整理術」を紹介しています。

和田氏自身、「どちらかといえば感情的な人間」なのだといいます。せっかちで、ちょっとしたことにイライラしてしまうのだとか。それでも、感情に振り回されて失敗することは少ないように思うと自己分析しています。

その秘訣は主に3つあるといいます。

1.自分が他人よりもせっかちであると自覚していること。自分の性格の偏りを認めることで、怒りをセーブできる。
2.自分の考えを絶対視せず、他の可能性も認める。正しさにこだわるのをやめるとストレスがなくなる。
3.結果を重視する。結果的に自分の得になればいいと思っているので、ときには人に頭を下げることも厭わなくなる。


大切なのは感情をなくすことではなく、振り回されないようにすることです。
不機嫌が続くと人間の免疫機能は低下し、医学的にも病気になりやすいことがわかっています。逆にいえば、いつも上機嫌なら、健康的な生活を送れるわけです。

自己愛が満たされているかどうか


感情的にならないための方法論について本書では、心と脳のメカニズムや考え方、ストレスをためない方法、ごきげんになる方法などに分け、それぞれのポイントをまとめています。

たとえば、「脳と心のメカニズム10の基本」の中には「満たされていない人は不機嫌になりやすい」と記されています。

これは、現代アメリカの精神分析学に大きな影響を与えたといわれる精神科医のコフートが述べた言葉だとか。家族や友人との関係、仕事がうまくいっているかどうかなど、日常が満たされていない人は生活の中でちょっとした問題に直面すると不機嫌になりやすいそうです。

少し電車が遅れただけで駅員さんに大声を張り上げたり、レストランで食事の提供が遅れただけで店員さんを怒鳴ったりする人などが、これにあたります。相手が謝ることで、自分の方が偉いと認識でき、自己愛が満たされるのだとか。

一方で、仕事も趣味にも楽しく取り組み、人間関係にも恵まれている人は不機嫌になりにくいといいます。

ここで重要なのは、自分が置かれた環境の中で「満たされている」という実感を持つこと。満たされるための明確な基準は、世の中には存在しません。お金持ちで友人の多い人でも満たされていない人はたくさんいます。

実感を持つことができるかどうかがポイントです。

いろいろな正しさがあると認識する


「脳と心のメカニズム10の基本」の中には、こんなことも書かれています。

「答えは1つだと思うから不機嫌になる」。
これは○○でなければならない、自分が進むべきはこの道しかない……などとものごとを一方的に決めつける考え方が、人を不機嫌にさせ、不安に陥れると著者は力説しています。

自分が正しいと思っている人は、自分と異なる意見をもつ人に敵対心を抱くもの。人間に多様な価値観があって当たり前。柔軟な心を持ち、角度を変えればいろいろな正しさがあるというスタンスでものごとを見ることが大切です。

このほか「感情的にならない考え方8つのポイント」の中には、「自分へのご褒美を設定する」という項目がありました。

嫌なこと、苦手なことに取り組むときには、どうしても気が重くなります。そこで一週間に3つを目安に自分自身へのご褒美を用意することを著者はすすめています。ポイントは、実現できる範囲で気分が高揚するものごとを選ぶこと。

和田氏の場合は、レストランのディナーを予約したり、見たい映画の前売りを買ったり、趣味の本を読む時間を空けておいたり、自宅においてあるちょっと高価なワインを開けたりするのだとか。

感情のコントロールは誰でもなかなか難しいものですが、ものごとの捉え方を少しだけ変えるなどのわずかな工夫で、ごきげんな時間が増やせるということ。本書にはそのヒントが散りばめられています。

(編集部:Y.C)