コラム | COLUMN

ビジネスの成功は心身の健康から。
心と体は深く結びつき、互いに支え合いながら、時に思いもよらないパワーを生み出します。
このコラムでは、しなやかな体と強い心を手に入れるためのオススメ本をご紹介します。今回はこちら…

負けないカラダ〜Toughnessを手に入れる本 第29回

「ジョコビッチの生まれ変わる食事」
ノバク・ジョコビッチ 著

三五社 / 1,400円 税別

2015-09-30

世界ランキング1位のプロテニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチが、原因不明の体調不良から脱出するために取り入れた食事法。

どのように最悪の状況から抜け出したのか


セルビア・ベオグラード出身のプロテニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチは、試合中に時折、原因不明の体調不良に襲われていました。そして2010年、強い呼吸困難と吐き気に見舞われ、大事な試合中に体が全く動かなくなります。それでも懸命に闘いましたが、サーブでのダブルフォルトにより試合は終了してしまいます。

この最悪の状況から18ヶ月後。ジョコビッチは体重を5kg絞り、ウィンブルドン優勝と世界ランキング1位を成し遂げました。

どのようにして自らの肉体と向き合い、コントロールしていったのか。

その陰に隠されていたのは、新しいトレーニングプログラムでもなく、新しいコーチでもなく、新しいスタイルのサーブでもありません。それは新しい食事でした。

最初の3ヶ月で体重は4kg落ち、神経が研ぎ澄まされ、活力がみなぎるのを感じたといいます。

この本では、そんなジョコビッチの食事法と生活に対する意識が語られています。

耐性がない食物を除いた食事


ひとつの食事法が、すべての人に当てはまるということはありません。一人ひとりの肉体は異なるので、自分にとって最高の食事を探ることが大事。そのヒントにしてほしいというのが、この本の狙いです。

ジョコビッチは、特定の食物に対する不耐性を調べる血液検査を通して、小麦グルテンと乳製品に不耐性を持っていることがわかりました。

両親が営むビザ屋さんで、小さな頃からトマトソースとチーズたっぷりのピザを食べていた彼にとって、その事実は衝撃的なものでした。

そして、専門家の指導のもと、パンおよびグルテンを含む食べ物を、まずは2週間、食事に含まないようにします。

最初はロールパンやクッキーなどが恋しくなったものの、しばらくすると体が軽くなり、活力が湧いてきて、長年悩まされていた鼻づまりからも開放されました。集中力が生まれ、明らかに肉体が変わっていくのがわかったといいます。

さらに、乳製品も取り除きました。乳製品を除くことでカルシウム不足が問題となるため、代わりのカルシウム源として、ブロッコリーやツナ、サーモンなどの魚類、アーモンドミルクなどを摂るようにします。

現在、ジョコビッチが食べているのは、肉や魚、卵、低炭水化物の野菜(とくにブロッコリー、カリフラワー、インゲン豆、アスパラガスなど)、果物、キノア(アンデス高原地帯が原産の穀物)、ソバ、玄米、ナッツ類、豆類などなど。

オイルはオリーブオイルやココナッツオイル、アボカドオイル、亜麻仁油。そのほか豆果(ヒヨコ豆、レンズ豆など)、調味料はマスタードや酢、わさび、ハーブなどです。

食物は情報である


食べ物を体に取り込むということは、体に情報を送っているということ。あまりに早く食べてしまうと、体はその情報を処理できなくなってしまいます。そのため、意識してゆっくり食べることが重要です。

先ほど挙げた食品はいずれも血糖値を急激に上げない食品ばかり。こうした食品を選ぶことで、血糖値を一日中、安定したレベルに保っています。それにより、日中の気分の上下がなくなり、急激に糖分を欲するような状態にも陥らなくなりました。安定した血糖値を保つことで、脂肪を蓄積しにくい肉体へと変化していきます。

さらに、消化器官への負担を減らすために、氷水など冷たい飲料は飲まないように工夫しています。

4つのキーワード


ある日の食事を見てみましょう。 朝、起きたらまず水を飲み、蜂蜜を大さじ2杯とパワーボールミューズリーをアーモンドミルクで食べ、あとはフルーツ。 間食はアボカドにツナを加えたクラッカー。昼食はグリーンサラダにグルテンフリーのパスタなど。午後の間食は、カシューバターつきのリンゴ、メロン、スイカなど。夕食はキノアつきケールサラダ、ミネストローネスープ、ハーブつきサーモン。

こうした食事は決して厳密ではありません。日によっても異なりますし、もちろん個人によっても体に合った食物は異なります。

その中で、ジョコビッチは4つのことを守るようにしています。

1.ゆっくり意識的に食べること
2.肉体に明解な指示を出すこと(タンパク質を中心にした食事の時には筋肉の修復を、炭水化物を摂るときにはエネルギーの補充を意識する)
3.食事を前向きにとらえる
4.量ではなくて質を追求する


トップアスリートともなれば、肉体だけでなくメンタルにも大きな負荷がかかります。そのため、こうした食事での取り組みのほかに、心を落ち着かせるために瞑想をしたり、上質な睡眠をとるよう心がけたりして、ストレスの除去にも努めています。

「自分自身を制御できる力の大きさが、あなたの人生の質を決める」。

才能に加えて、さまざまな角度からの努力を重ねてきたアスリートの言葉です。

(編集部:Y.C)