コラム | COLUMN
21世紀末には日本の人口は約半数に……。11名の筆者による“

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第87回

「人口減少社会の未来学」
内田 樹 編

文藝春秋 / 1,600円 税別

2019-3-4

21世紀末には日本の人口は約半数に……。11名の筆者による“生き残る”ための論考集。

80年間で約7,000万人減少


本書は各界から集められた著者11名が、人口減少が進む日本の未来の見通しについて論じた書籍です。

国立社会保障・人口問題研究所の報告によれば、日本の21世紀末の人口は中位推計で6,000万人と推計されています。これからの80年間で約7,000万人が減る計算です。

ここまで加速した人口減少に対して、広い視点で捉えてみようというのが本書の狙いです。

人口減少は自然の流れ。どう負け幅を小さくするか


編者の内田樹氏ははじめに、人口減少そのものは天変地異ではなく、自然過程であると述べています。世界人口はこれからの30年で22億人増え続けます。とくにインド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、パキスタン、エチオピア、タンザニア、アメリカ、インドネシア、ウガンダなどが際だっています。地球環境が持続可能な状態にまで人口が減少するのは自然の流れで、先進国はどこでも(アメリカを除いて)、これから人口減局面に入ること。人口減少は自然なことであり、「忌まわしいもの」であるかのように語るのは的外れだと説いています。

日本は「最悪の事態」に備えてさまざまなプランを用意することを苦手としています。大事なのは、そうしたリスクヘッジの習慣がないことを理解した上で、これからの「後退戦」において「どうやって負け幅を小さくしていくか」を考えることだと述べています。

次世代再生力は数値化できる


内田氏が寄稿を依頼したのは、生物学者の池田清彦氏や経済学者の井上智洋氏、地域エコノミストの藻谷浩介氏、、英国在住コラムニストのブレイディみかこ氏、劇作家の平田オリザ氏、建築家の隈研吾氏など。 たとえば池田清彦氏は「ホモ・サピエンス史から考える人口動態と種の生存戦略」と題して、生物としての人間の歴史的な人口推移について考察しています。

藻谷浩介氏は、「日本の“人口減少”の実相と、その先の希望〜シンプルな統計数学により、『空気』の支配を脱する」と題して、寄稿しています。

藻谷氏は「日本を動かしているのは、政治家でもマスコミでもブロガーでもなく、『空気』である」と冒頭に記しています。ここでいう「空気」とは、共通の「思い込み」や「イメージ」を意味しています。

東京では急速な人口増加が起きていますが、実は増加しているのは主に高齢者であって、あたかも納税者が増加しているようなイメージと実態は異なるといいます。

さらに藻谷氏は、ある地域における親世代の数と乳幼児の数を比較し、両者の水準が同じになっているかどうかを判定することで、次世代がきちんと再生されている地域なのかそうでないのかが数値化できると紹介しています。

実際の計算法を説明しながら、都道府県別の次世代再生力をグラフで示しています。これを見ると、西高東低であることがわかります。

ほかにも、「若い女性に好まれない自治体は滅びる〜『文化による社会包摂のすすめ』」と題した平田オリザ氏の寄稿では、地域のマインドに踏み込んだ考察が行われています。

多角的な視点から、人口減少における“処方箋”をまとめた一冊です。

(編集部)