コラム | COLUMN
「図解 モチベーション大百科」池田貴将 著

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第84回

「図解 モチベーション大百科」
池田貴将 著

サンクチュアリ出版 / 1,400円 税別

2018-12-10

私たちを見えないところで動かす”モチベーション”。心理と行動のメカニズムを知り、日常生活やビジネスシーンに活かす。

意思とは別に人間を動かすもの


私たちには一人ひとりに意思がありますが、それとは別に人間を動かしているものがあります。それがモチベーションです。

本書では、スタンフォード大学やハーバード大学、コロンビア大学などの研究機関が行った100の心理・行動実験をもとに、さまざまなモデルケースを紹介しながら人間のモチベーションについて考察しています。

大百科というだけあって、これまでどこかで見聞きしていたものの、情報としては点在していた行動経済学や実験心理学についてのメカニズムが多数登場し、まとめられています。

各章のモデルケースでは、誰もが思わずうなずいてしまうようなシーンも登場します。

日常生活と照らし合わせながら、興味深く読み進めることができます。

動機づけで大切なこととは


章立ては全7つ。

CHAPTER 1から「動機づけのモデルケース」「人材育成のモデルケース」「目標設定のモデルケース」「意思決定のモデルケース」「人脈作りのモデルケース」「自己管理のモデルケース」「発想転換のモデルケース」と続きます。

いくつか印象的な項目をご紹介しましょう。

まずは「動機づけのモデルケース」の中に登場する項目「自問式セルフトーク」。

人間は断定よりも疑問の方が、答えとモチベーションを引き出しやすいのだとか。人は誰でも命令されることが苦手ですが、「お願いできますか?」と聞くことで、相手に対して「いいえ」と答える余地を与えることができます。それによって相手は「はい、やります」という選択を自らチョイスすることができるわけです。

この法則は対人だけでなく自分にも当てはめることができるそうで、「さあ、はじめるぞ!」と思うよりも、「できるかな?」「はじめられそう?」と自分自身に問いかけた方が、やる気が起きやすくなります。

同じく「動機づけのモデルケース」に登場する「手分け戦略」も、ビジネスのヒントになりそうです。

試食調査で協力者に24枚入りのクッキーの箱を渡しました。むき出しでクッキーが入っている箱は平均6日でクッキーが完食されましたが、一枚一枚個別包装されている箱は平均24日でクッキーが完食されました。

このことからわかるのは、必要アクションの数が減ると行動が早まり、必要アクションの数が増えると行動がゆっくりになる、ということ。

これはさまざまなシーンで応用できそうな心理行動システムです。人がスマートフォンやSNSに依存しやすいのも、すぐ取り出せるところに置いておける、アプリが便利だ、といった小さな条件の積み重ねに起因しているところもあります。

人間には6つのニーズがあるといいます。1)安定感、2)変化(不安定感)、3)重要感、4)つながり、5)成長、6)貢献。

誰もがこの6つのニーズを持っていますが、人によって重要度が異なります。それぞれに「2大ニーズ」があり、そのニーズを積極的に満たそうとして生きているのだとか。

相手のニーズを探り、そこにフォーカスしながら提案や交渉をすることで、ビジネスやコミュニケーションもスムーズにいくというわけです。

本は並行読みがいい


ほかに、CHAPTER 2「人間形成」では、「プライミング効果」なるものが登場します。これはひとことでいうと、人間は使った言葉にふさわしい人物を体現しがちだということ。

CHAPTER 4「意思決定」の中にある「ブレインストーミング」では、ワクワクするアイデアが出ないときには、突飛な意見を出すことで、凝り固まった枠が取り払われ、自由な発想が生まれると紹介されています。ブレインストーミングなどのアイデア出しでは、「どこへ向かうか?」よりも、「どこから出発するか」が大事だというわけです。

CHAPTER 6「自己管理」の中に登場する「交互練習」も印象的でした。交互練習とはひとことでいえば、複数の対象について練習するということ。これはひとつの対象に集中する練習と比べて理解しずらく、成果も実感しずらいといえますが、長期記憶に役立つそうです。日常生活では、本を何冊も並行読みすることもそれにあたります。

人や自分が知らず知らずに行っている行動がどうモチベーションにつながっているのか、改めて知り、整理することができる一冊です。

(編集部)