コラム | COLUMN
「高校生が教わる「情報社会」の授業が3時間でわかる本」沼 晃

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第82回

「高校生が教わる「情報社会」の授業が3時間でわかる本」
沼 晃介 著

翔泳社 / 1,480円 税別

2018-11-12

2013年から高校の教科に加わった「社会と情報」と「情報の科学」。教科書の内容をベースに、あらためてIT社会の基礎知識を学ぶ。

高校の教科書がベース


2002年から中学にて、2003年からは高校でも教科としての「情報」が必修化されてきました。

30代半ば以上のビジネスパーソンの中には、中学高校で情報と社会の結びつきや、IT技術の基礎知識についての授業を受けてこなかった人が多いのでないかと思います。

高校における情報関連の教科は、2013年から「社会と情報」「情報の科学」の2科目に再編されています。このうち、より入門的な「社会と情報」の教科書で扱われている内容をベースに、ポイントを絞って解説しているのが本書です。

ウェブは実社会を補うもう一つの社会


本書の狙いは技術や仕組みひとつひとつの意味よりも、急速に変化する情報社会と生活との結びつきを感覚的に捉えてもらうことに主眼が置かれています。

情報は人から人へ伝えられるもの。現代社会は人と人がどのようにコミュニケーションを行っているのか、それが技術的な側面と社会的な側面から整理されています。

章はシステム、コミュニケーション、情報活用、通信、セキュリティ、最新テクノロジーといった仕組みごとに分かれています。

たとえば「システム」の章では、環境に埋め込まれたセンサと家電を連動させたり、それをネットワーク越しに直接操作する仕組みとして「IoT」が紹介されています。

ほかに、実際の社会を補うもう一つの社会として存在するウェブについてや、メールやメッセージ、SNS、検索エンジン、辞書や天気予報、乗換検索といったオンラインサービスについても触れています。

情報技術は人間の何を拡張しているのか


システムの章の最後にあるコラム「メディア論という考え方」では、情報技術の進展がたまたま生活の情報化に適用した」というよりも、「情報技術の発展は、変えるべくして私たちの生活を変えた」と書かれています。

ここで、カナダ出身の英文学者マーシャル・マクルーハンの言葉が引用されています。

「道具の発展は、人の身体や精神を拡張する形でその人の生活を変える」

これは1964年に出版された『メディア論』の中の言葉です。この本でマーシャルマクルーハンは、ハンマーは拳の拡張であり、鉄道は足の拡張であるといった例を挙げています。

ではそうした見方をしたとき、情報技術は私たちの何を拡張しているのでしょうか。

沼氏は、「脳の機能を拡張したという言い方もできるのではないか」と述べています。

情報社会の経済活動


コミュニケーションの仕組みの章では、いまの著作権の制度が新しい情報環境に対応しきれていないことや、インターネット上のコミュニケーション特有の激化したののしり合い「フレーミング」についても説明しています。

ほかにセキュリティの章では、人もモノもお金も可視化されなくなっていく情報社会の経済活動についてや、ユーザー認証の必要性などについても、わかりやすく解説しています。

IT技術に不慣れな高齢者や、すでにITの情報社会が生活に溶け込んでいる子どもたちに言葉で全体像を説明する際にも役立ちそうな一冊です。

(編集部)