2018-09-10
50万部のベストセラー『未来の年表』に続く第二弾。人口が減少した日本で、日常生活はどう変わっていくのか。
前作『未来の年表』では、2017年から2065年過ぎまでの日本の人口減少について、カレンダーのような年ごとの未来予想図が記されていたことで話題を呼びました。
本作はその続編です。10年後、20年後に私たちの日常では実際にどんな変化が起こるのかを予測しています。
厚生労働省の『人口動態統計』によれば、2016年の年間出生数は前年に比べて2万8000人以上減り、97万6978人で、100万人に届かなかったのは統計を取ってから初めてのことだといいます。
さらに2017年の年間出生数の推移値は94万1000人に留まる見通しで、死亡数は過去最多の134万4000人。人口の減少幅はついに40万人を突破するに至っています。
日本は急速に少子高齢化社会へと進んでいるわけですが、そこには特徴がいくつかあります。
80代以上の「高齢化した高齢者」が多くなっていることや、独り暮らしの高齢者や女性高齢者、低年金・無年金の高齢者が増えていることなどが挙げられます。
では具体的には何が起こっていくのでしょうか。
たとえば、独り暮らしの高齢者が増えることで、「不慮の事故」が増えていくのではないかと考えられています。
事故というと交通事故など屋外を想像しますが、実は家の中でも数多く起こっています。とくに多い場所は「居室(45.0%)」「階段(18.7%)」「台所・食堂(17.0%)」です。
高齢になれば体力や筋力も弱まりますから、思わぬところで物につまずく可能性も高くなります。階段でつまづいたり、足がもつれて家具にぶつかったり、ベッドから転落したり、バスマットや毛布などに足をとられたり。中には骨折し、寝たきりになってしまうケースもあるといいます。
また広い家に一人で住む場合など、使っている部屋と使わない部屋の寒暖差が大きくなり、冬場のお風呂上がりなどに部屋の温度差が病を引き起こす可能性もでてきます。
こうした状況は、新しい技術の開発によって大きく改善されていくかもしれません。
もうひとつ気になった記述は、80代の増加によって暮らしのスピードが変わるということです。
いま、都心では歩く人の流れが速く、電車もわずか数分おきにどんどん運行されています。それが可能なのは、利用者がスピーディーに乗り降りしているからです。今後、高齢者が増えるとそのスピードが維持できなくなるのではなないかと見られています。
独り暮らしの高齢者は、買い物や通院なども自分で行わなければなりませんから、それを手助けする良質なサービスが求められるようになるでしょう。
誰しも80代になると若い頃と同じように動くことはできません。判断力が鈍くなったり、機敏さがなくなったりします。そのため、公共交通機関のエレベーターが混み合うことが予測されています。同じように店で店員さんに説明を求めるときや、銀行の窓口、役所や郵便局などでも待つ人が増えるかもしれません。
ほかに、空き家が増えてスズメバチの巣が増える、都会の繁華街に幽霊屋敷が出現する、農業に携わる人が減る、オフィスが高年齢化する、ネット通販の利用数が増えてなかなか商品が届かなくなる……など、たくさんの現象が予測として挙げられています。
人類の歴史の中で人間はよりよい未来を求め、想い描いた世界をつくる努力を続けてきました。一方で、世の中の流れは一定ではなく、常に変容を繰り返してきました。
未来に起こりうるマイナスの状況を知ることで、それに対応する術を考える時間もつくり出せるのではないかと思います。
(編集部)