コラム | COLUMN
「ファンベース ─支持され、愛され、長く売れ続けるために」

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第76回

「ファンベース ─支持され、愛され、長く売れ続けるために」
佐藤尚之 著

ダイヤモンド社 / 1,500円 税別

2018-04-02

ファンを大切にし、ファンをベースにして、中長期的に売上や価値を高めていくマーケティング法。

広告コミュニケーションラボが人気の佐藤氏


タイトルの「ファンベース」とは、ファンを大切にして、ファンをベースに置きながら、中長期的に売上や価値を上げていくマーケティングの考え方です。

著者の佐藤尚之氏は、大手広告代理店に長年、勤務した後に独立。現在はコミュニケーションディレクターとして、株式会社ツナグを経営しています。また、他分野で仕事をする社会人を集めた広告コミュニケーションの勉強会「さとなおオープンラボ」を主宰。毎回、参加希望者が多いことで知られています。

人口の急減やウルトラ高齢化、超成熟市場、情報過多など、新規顧客の獲得が困難になっているいま、生活者の行動消費を促すためにはどうしたらいいのか。

佐藤氏は「ファンベース」という考え方を切り口にした、きめ細かな対策を解いています。

バズを意識した短期キャンペーンのメリットデメリット


近年よく聞くのが、バズを意識した短期的キャンペーンの話。

たとえばイベントを開催して、スペシャルサイトにもアクセスが集まったが、その効果が長持ちしない。創業50周年のCMキャンペーンが話題になり商品名が再び認知されたけれども、いっとき伸びた売上が続かない。地方創生の一環でネットメディアと企画した「おもしろ動画」のバズが成功して知名度は上がったが、移住者は全く増えない……などなど。

佐藤氏はこのような一過性かつ瞬間風速的に効果を失ってしまった「成功キャンペーン」を見るたびにもったいないと感じているのだとか。

せっかく人の気持ちを一瞬でも動かしたのに、忘れ去られてしまう施策を佐藤氏はデートに置き換え、「本当に好きになってもらいたいのであれば、デートの後どうするかが大切」だと述べています。

短期施策や単発の施策は、企業やブランド、商品を知ってもらうために必要です。ほかにもコンビニでの棚確保といった流通対策、社内のモチベーションアップなど、短期的施策のメリットもあります。

そこで佐藤氏は、短期キャンペーン施策や単発施策を、中長期ファンベース施策とつなげて、資産化していくことを目指すべきだと語っています。

少数のファンがブランドを支えている


ファンベースが必要な理由は3つあります。

1)ファンは売り上げの大半を支え、伸ばしてくれるから。2)時代的・社会的にファンを大切にすることがより重要になってきたから。3)ファンが新たなファンを作ってくれるから。

自然現象や社会現象などさまざまな事例に当てはまる法則として、「パレートの法則」や「20:80の法則」と呼ばれている法則があります。

マーケティングではよく「全顧客の上位20%が売上の80%を生み出している」などといわれています。

業界によって数値に多少の変化はあるものの、小数のファンが売上の大半を支えているという事実は多くの事例を通して確認されています。

類友のおすすめが最強


バズは現代においては非常に有効な手段だと考えられていますし、実際にSNSをよく使っている人に対しては、伝わりやすい手段のひとつです。

しかし日本ではSNSの月間アクティブユーザーはツイッターで4,500万人(2017年10月現在)、Facebookで2,800万人(2017年9月現在)、インスタグラムで2,000万人(2017年10月現在)です。

これらの総利用時間の80%を、20%のヘビーユーザーが占有しています。いちばん多いツイッターでいうと、20%は900万人に相当します。

日本の総人口が1億2,693万人(2016年10月現在)で、15歳以上に限ったとすると1億1,091万人。そのうちの900万人、総人口の約8%しか利用していないことになります。

そんな中で、もっとも強力なエネルギーとなるのは、友人のおすすめです。「価値観が近い人が愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高い」と佐藤氏は強調します。

類は友を呼ぶ=類友からのおすすめが、テレビやネットをしのぐ最強メディアといえるわけです。

SNSはどう使ったらよいのか


ファンの支持を強くするアプローチとして「共感」「愛着」「信頼」がキーワードとして登場します。

ファンの愛着を高める方法としては、SNSもとても有効です。SNSはリーチを拡大させる目的というよりも、リーチの質を高めるツールとして積極的に活用するのがよいと書かれています。

さらに本文では店舗やイベントなど、生活者とのリアルな接点と結びつけながら、ファンの支持をより強くする手法が具体的に語られていきます。

メディアの種類や影響力の大きさがどんどん変化していく中で、より大切にしなければならない「ファン」。ファンとの絆をいかに強くしていくか。きめ細かな施策が学べる一冊です。

(編集部)