コラム | COLUMN
なぜか好かれる人の「ちょうど良い礼儀」

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第71回

「なぜか好かれる人の「ちょうど良い礼儀」」
山崎武也 著

日本実業出版社 / 1,300円 税別

2017-11-06

気が利く人、好感を持たれる人がさりげなくしていることとは? 人の印象を大きく変える「礼儀」についての考察。

その人の印象を変える「礼儀」について考える


ビジネスシーンに限らず、生活すべてで必要となる「礼儀」。しかし実際の日常の中で何が正しい「礼儀」かとなると、定義づけは難しいものです。

本書は、仕事にまつわる人間関係についての著書が多い山崎武也氏が「ちょうどよい礼儀」について記したもの。

ひとつのシーンでも、置かれる立場によって受け取り方がさまざまであることにあらためて気づかされます。

「挨拶」がすべての基本


まずは、「相対していて自分の気分も良く、なんとなく好感を抱いた人」の行動を見て、なぜそうした印象を持ったかを探り、その人の言動を倣うことから始めます。

よい印象を抱くのは「ちょっとした理由」であることが多いものです。

裏を返せば、小さな手抜きや小さな心遣いが想像以上に人の心に影響を与えているともいえます。

その最たるものが「挨拶」です。

人と会った時に取り交わす最初の言葉は、その人の第一印象を決めてしまいます。「おはようございます」という挨拶ひとつでも、心を込めているのと心を込めていないのとではその後の人間関係にも違いが生じてきます。

相手を敬い、親愛の情を込めて礼儀正しい言い方に徹すること。さらに、瞬時でもいいので立ち止まり、相手の目を見てお辞儀をすることが大切です。

「挨拶はただするのではなく取り交わすものである」と著者は述べています。「お互いに」ということがとても重要なわけです。

たとえば「おはようございます」と挨拶されたら、「調子はどうですか」など一言付け加えてみる。ちょっとした応え方ひとつで、相手との間に「共感」が生まれます。

対面している人に集中する


最近では多くの人が、どこでもスマートフォンを見ています。その状況について、著者は疑問を投げかけています。

仕事は当然のこと、日常の気楽な集まりにおいても、「その時点で相対している相手以外は、人でも物事でもすべて無視する」くらいの集中力を持つべきだと説きます。

確かにこれは、誰もが考えさせられる点ではないでしょうか。どんな集まりでも、終始スマートフォンを片側に置いて気にしている人はいるもの。仕事の大切な連絡を待っている状態かもしれないので、そうした行動も許容されているのが現状です。

しかし携帯やスマートフォンが普及する以前には、いま目の前にいる人にもっと集中していたはず。茶道の世界でも活動する著者がこうした現状について「相手を軽く見ている」と述べるのは、当然のことと感じます。

まずは日頃の自分の行動を顧みたいものです。

別れ際の大切さ


年齢を重ねていく上でとくに気をつけたいのが「自慢話」。お酒の席などで過去の栄光を強調する人をよく見かけますが、それはコンプレックスの裏返し。自慢をすることは他人を自分より下に見る行為であるため、礼儀という観点からいえば「無礼」にあたると説明しています。

また、別れ際の挨拶についても、細やかな心配りが重要であると述べています。

著者が語る「また会うときまでは、自分の最後の印象が最新の印象である」という言葉は説得力があります。その印象を最良のものにしようとする努力が大切だと続けています。

仕事でもプライベートでも、去り際を大切にする人は心に残るもの。それはほんのわずかな行動の違いであったりします。

本書の中では具体的な行動についても詳細に説明しています。会議の後にはお客さんをできるだけ遠くまで見送る(もちろん限界はありますが)、車で去る際には相手が見えなくなるまで見送る…など。

もちろん、見送られる側の行動も重要で、建物の外で送られる際には曲がり角で振り返るようにと述べています。ここで振り返らないと、相手に「待ちぼうけ」を食わせてしまうからです。

「礼儀」は形式ではなく、心を表すかたち


ほかにも、人の話を先取りしない」、礼儀を人に強要するのは無礼、聞きたいことは「聞かれたいこと」、会食での立ち振る舞いについて、道具を大切に扱う……といった項目が記されています。

「礼儀」というと堅苦しく感じるかもしれませんが、表に見えるのはあくまでかたちに過ぎず、その根底となるのは人の心です。

細部の表現の仕方は人それぞれ。自分が受けて嬉しかったこと、印象に残った体験などをあらためて掘り下げてみることで、さまざまなシーンの「ちょうどよい礼儀」も次第に見えてくるように思います。

(編集部)