SOLUTION PRESS

なぜ人々はポケモンGOに熱中するのか?

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。 今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第59回

「なぜ人々はポケモンGOに熱中するのか?」
鈴屋二代目タビー、井原 渉 著

徳間書店 / 780円 税別

2016-11-07

2016年の大きな話題のひとつである「ポケモンGO」。なぜ「ポケモンGO」はこれほどまでに多くの人を熱狂させたのか、その裏側に迫る。

世代を超えた人気ゲームに


今年7月「ポケモンGO」が日本でリリースされ、瞬く間に一大ムーブメントに成長しました。

世界各地にスマートフォン片手にモンスターボールを投げるユーザーが出現し、社会現象にもなっています。

人々を熱狂させている「ポケモンGO」はどのようにして生まれ、なぜここまで人気を博したのでしょうか。

本書には制作物語や各地の現象、ゲーム市場の現状などが記されています。

アメリカで先んじてブームが起こった


先にアメリカで発売されていた「ポケモンGO」は、日本上陸前から話題を呼んでいました。

リリースされて早々に「ツイッター」の利用者数に達したといった情報や、公園にユーザーが押し寄せている様子、観光地で観光そっちのけで遊ぶ人々の姿などがニュースで取り上げられていました。

肥満問題が深刻なアメリカでは、「ポケモンGO」によって外に出る人が増え、ダイエットに繋がったともいわれています。

また、アメリカで長さの単位は日常的にはマイルやヤードが使われていますが、「ポケモンGO」ではキロメートルが表示されるため、ネット上でマイルからメートルへの変換方法の検索が急上昇したそうです。

ARを活用したゲームをベースに開発


「ポケモンGO」をつくったのは、ナイアンティック社CEOのジョン・ハンケ氏という人物。アメリカでベンチャー企業として立ち上げた会社がグーグルに買収され、その後、グーグル・ジオ統括担当の副社長に就任します。

ベンチャー企業当時の主力製品は「グーグルアース」と名付けられました。その後、「グーグルマップ」「ストリートビュー」を配信しています。

ハンケ氏は2001年、グーグル社内のスタートアップとしてナイアンティック・ラボを設立し、拡張現実を取り入れた「イングレス」というゲームを開発しました。そして2015年にグーグルから独立し、「ポケモンGO」を生み出します。

「イングレス」の開発にあたり、ハンケ氏は、「世界を変えるためには、どうすればいいのか」と考えあぐね、「世界を変えるためには、人は外に出ればいい」という結論に達したのだとか。

そして、ゲームの世界だけに人々を閉じ込めない、全く新しいゲームの開発に着手します。「ポケモンGO」は、先にリリースしていたこの位置情報ゲーム「イングレス」をベースにしてつくられています。

「ポケモンGO」がこれまでのソーシャルゲームと違う点はいくつかありますが、そのひとつが現実世界との連動です。

外に出てポケモンを探したり、「ポケストップ(ゲーム上のアイテムを入手する場所)」を訪ねたりするプロセスは、スタンプラリーに似ています。

さらに現実と連動した場所にある「ジム(各地域にある対戦施設)」では、陣取り合戦のようなプレーを行います。

こうした現実世界との連動「AR=拡張現実」による楽しさや操作のしやすさ、ポケモンの可愛さなどが親しみやすさを生み出し、これまでゲームをしなかった人たちも夢中にさせたと考えられています。

地域の活性化にも一役


「ポケモンGO」には、ゲーム内通貨で購入できるツールの中に、自分以外の人にも効果が及ぶ「ルアーモジュール」というツールがあります。これも他のゲームと大きく異なる要素です。

「ルアーモジュール」を使ったイベントや販促なども各地で行われています。

たとえば大阪市旭区にある千林商店街では、たまたま商店街が「ポケストップ」や「ジム」に設定されていたため、ポケモンを集める「ルアーモジュール」をスマートフォンで購入し、設置し続けました。

それによって、モンスターの出現率がアップ。「モンスター取り放題!」というイベントを実施しています。

ある店舗では、「ポケモンGO」のレベルで割引率を変えるセールも行いました。

このイベントがSNSを通して話題となり、各地から若者や親子連れが来訪。客足が2〜3倍に増え、売り上げも増加しました。暑い日だったこともあり、ソフトクリーム店では抹茶ソフトが通常の3倍売れたといいます。

この企画は、660mある商店街に11箇所「ポケストップ」が存在していることに目をつけた商店街振興組合の部長さんが考案したそうです。商店街のHPには、ポケストップのマップも掲載しています。

ゲームの未来を占う


そのほか本書では、スマートフォンゲーム市場の変遷や現状、課金制度の課題、
AR(拡張現実)やVR(仮装現実)、IoT、ウェラブルとスマートフォンとの連動による新しいゲームの世界への展望なども記されています。

今年最大の社会現象をわかりやすく解説した一冊です。

(編集部 Y.C)