コラム | COLUMN
やらないことを決めなさい

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第53回

「やらないことを決めなさい」
島原隆志 著

マガジンハウス / 1,200円 税別

2016-05-10

「時間がない」と嘆くことの多いビジネスパーソンに捧げる時間管理術。
やみくもに頑張るワークスタイルから卒業できます。

インバスケット(ビジネス・シミュレーション・ゲーム)のスペシャリストが語る


「どうすれば仕事が効率化できるか」「もっとやりたいことがあるのにできない」と日頃、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

著者は大手流通業のスーパーバイザーとして店舗指導や問題解決業務に従事した後、インバスケットの会社を起業。主に法人向けにインバスケット教材の開発と導入サポートを行い、研修や講演などでも活躍するスペシャリストです。

本書では「もっと楽に仕事を進めるための方法」を紹介しています。

重要なことは一部に過ぎない


インバスケット理論の基本は次の4つであると著者は述べています。

 1.すべてをやろうとする流れから抜け出す
 2.抱えている荷物を開けてみる
 3.自分の中の基準を決める
 4.時間を生み出す流れに変える

これらを各章に分けて、具体的に伝えています。

私たちがまずすべきなのは、「本当に大事な仕事は、仕事全体の中の一部である」と気づくことであると著者は述べています。

その気づきにより、自分にとって本当に大切なものが見えてきたり、自分を必要としている人に気づいたり、本当にやりたいことを思い出したり出来るからです。

日常生活ではつい「今日はこれだけ仕事をしたぞ」と仕事の量にとらわれがちですが、著者は量的思考ではなく、質的思考に切り替える必要があると述べています。

ビジネスパーソンが目指すのは「量が少なくても、質の高い仕事をする」ということ。

ではどのようにしたら、それが実践できるのでしょうか。

忙しすぎる状態は普通ではない


本書では、質的思考へ導くためのキーワードが登場します。
ここでは、そのいくつかをご紹介しましょう。

・もっと仕事をやりたいという欲を断ち切る
 ビジネスで成功を目指す場合、「もっと仕事をやりたい」という欲求が強まります。それを「もっと時間をつくりたい」というイメージに置き換えるという手法がここでは紹介されています。

・満点主義からの脱却
 すべての仕事で100点を目指すのではなく、一日に一つ、多くても三つ以内にとどめて、あとは70点くらいを目指します。

・忙しい状態は普通ではなく、異常であると認識する
 数時間の残業が当たり前だと思っているならば、それはすでに本来あるべき姿とかけ離れた状態が常態化していることを意味します。

・いまやっている仕事を書き出してみる
 私たちは思いのほか時間を雑務に奪われています。いま行っている仕事を棚卸しすることによって、自分の仕事ぶりを冷静に見返してみます。

自分の基本軸を決める


著者によれば、インバスケットでは仕事の優先順位を「緊急度」と「重要度」の2つから決めていくそうです。

この2つをもとに、自分の中で基準軸をつくっていきます。

その基礎軸について、本書では「緊急かつ重要な案件」「緊急ではないが重要な案件」「緊急だが重要でない案件」「緊急でも重要でもない案件」の4つのマトリクスに分けることを推奨しています。

短期的な視点で仕事を見ると「緊急かつ重要な案件」や「緊急だが重要でない案件」に追われがちですが、本来、重要な仕事は実は「緊急ではないが重要な案件」であると著者は説いています。

ここに力を入れていくこと。

部下の教育や仕事の仕組みづくり、リスク回避、メンテナンスなどがそれに当たります。

時間を生み出す方法


最終章には「緊急ではないが重要な案件」に時間を使うためにはどうすればいいのか、そのヒントが書かれています。

たとえば、取り組むための時間を先取りして確保してしまうという方法があります。

そのほか、考える時間と作業する時間を分ける、自分の身の丈を知って手を広げすぎない、出来ないことを出来ないと断ることの大切さを知る…などが挙げられています。

目の前の仕事にばかり意識がとどまりがちなビジネスパーソンに、時間の使い方について改めて考える機会を与える本です。

(編集部 Y.C)