コラム | COLUMN

「気になる本はたくさんあるけれど、忙しくて、ついつい読まずに終わってしまう…」。そんなビジネスパーソンのために、仕事に役立ちそうな本、これからの人生をより豊かにしてくれそうな本を編集部がピックアップ。内容を“美味しいとこ取り”でご紹介します。今回はこちら…

ちょっと立ち読み〜ビジネスに強くなる本 第8回

「聞く力~心をひらく35のヒント」
阿川佐和子 著

中公新書ラクレ / 840円

2012-08-03

阿川佐和子さんといえば、テレビやラジオの司会、雑誌の対談などでお馴染みですね。大物政治家を前にしても毅然とした態度で、チャーミングな笑顔をたずさえながら、時にユーモアを交えつつ、その場を取りまとめてしまう。まさに「聞き上手」な方です。 1000人近くをインタビューしてきた阿川さんが、「聞く秘訣」をあますところなく披露している本書。日常生活に取り入れたいヒントが満載です。

インタビューとはすなわち「会話」


インタビューとは質疑応答のこと、日常的な言葉でいえば「会話」です。 阿川さんのようなお仕事をしていない私たちでも、職場の同僚や家族、友達の話を聞くことすべてがインタビューなわけです。 人は生きている限り、誰もがインタビューに始まってインタビューに終わる暮らしをしているといえます。

すぐに真似できるアガワ流の「聞き方」


本書では聞き上手になるための35のヒントが挙げられていますが、ここでは日常生活で真似できそうな8つをご紹介します。

1.自分の話を聞いてほしくない人はいない

「私は話すのが得意じゃないんです」という人はたくさんいますが、どんな人でも自分の話を聞いてもらって嬉しくないわけがありません。 「この人の顔を見ていたら、なんだか話したくなってしまった」と思ってもらえる雰囲気をつくりだすことが大切です。

2.質問の柱は3本に

いろいろと聞きたいことがある場合でも、質問の柱は3本に絞ります。 その理由は、相手の話に集中するため。 「次はあれを聞こう、その次はこれ…」とそわそわしていると、話に集中できず、相手も「この人は私の話をちゃんと聞いてくれているのかしら」と不安になります。 「あなたの話をしっかり聞いていますよ」という態度で臨むことが、会話の基本です。

3.自分ならどう思うかを考える

相手の気持ちを推し量るのは難しいことですが、「私なら、そんな時にどう思うだろう?」と「私」を一つの基準に考えてみます。その際、自分と同じであることを「正しい」とか「当然だ」と過度に思い込まないこと。 自分とどう違うのか、どれくらい近くて、どれくらい遠いのかというスケールをもとにイメージを膨らませて、質問を広げていきます。

4.相づちとは「薪ストーブの火をじっと見つめて、団扇であおぐようなもの」

臨床心理学者の河合隼雄さんとの対談から、「ただ聞くこと。それが相手の心を開く鍵だ」と学んだという阿川さん。 河合さんは患者さんの話を聞く時、アドバイスはせずに、相づちを打ちながら話を促すことに徹するそうです。 相づちが小気味よいと、それだけで相手はもっと話したくなります。 「オウム返し」もそのひとつ。 例えば「実は僕、こう見えてすごく恐がりなんですよ」「恐がり!?」……といった具合。 一つの言葉をピックアップすることは、時に語り手の心の喚起につながります。

5.なぐさめの言葉は2秒後に

つらい話や弱気な心を打ち明けてくれた相手に、なぐさめの言葉をかける時。大事なのは、言葉を発するタイミングです。 これは長くても短すぎてもダメで、長年の経験から2秒後くらいがいいそう。 どう返したらよいのか言葉に窮すこともままありますが、言葉の種類ではなくて、言い方や表情、動作やスピードなどが重要です。 それらを総合して、相手に「ああ、本心で自分をなぐさめてくれるんだ」と伝えます。

6.安易に「わかります」と言わない

よく話を聞きながら「わかる、わかる。あなたの気持ちすごくわかるわ~」なんて合いの手を入れてしまうことがありますが、それは親切心からしたことであっても逆効果。 自分の経験と相手の経験の似ているところを探して重ね合わせてみても、決して同じではないのです。 言い方を間違えると、ときに傲慢と受け止められてしまいます。 「本当にわかっているのか、自分は?」と、常に問いかけてみます。

7,知ったかぶりをしない

得意分野でない話の時には、知ったかぶりをしないこと。 にわか勉強をして背伸びをしても、化けの皮はすぐに剥がれてしまいます。 それよりも、自分の知識の足りなさを素直に認め、相手に失礼のない範囲で、素朴な疑問をぶつけてみるようにします。

8.相手のテンポを大事に

ゲストと話をしている時に、なかなか答えがかえってこなくて沈黙が続く時があります。 そんな時はつい、言葉を置き換えたり、答えを促したりしがちですが、それは結果的に、答えようとしている人を追い立てることになります。 「いまお相手は、ゆっくり考えているのだ」と、静かに構えましょう。 そうすることで、思いもかけない貴重な言葉が紡ぎ出されることがあるのです。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
本書を読んで、「対話の極意」を学んだような気がしました。 こんなに赤裸々にインタビューテクニックを披露してしまっていいのだろうか…とこちらが心配になるほど、具体的な内容が書かれています。 会話というのは言葉に留まらず、その場に生まれる空気感、相手との一体感など、形で表せないものすべてを指すのですね。 少しでも「聞き上手」になれるよう、私も今日から努力していこうと思います。

(編集部 Y.C)