導入事例

鹿島建設株式会社様

埋設物検知システム

夜間の道路掘削工事の様子。十分な視界が確保できない状況においても。埋設物の位置を画面上で確認する事が可能になり、これまで以上に安全性が確保されうように

掘削現場の“地中のリスク”を、GNSS高精度測位で見える化。 危機管理の精度を向上しながら、作業負担も軽減。

  • 建築・建設・土木
  • タフパッド/タフブック
 

導入年月:201807

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日本を代表する大手総合建設会社である鹿島建設株式会社様(以降、鹿島建設様)は、天保11年の創業以来、時代ごとの先駆的なプロジェクトを多数手掛け、日本の産業・経済の発展に貢献されています。2017年からは日本最大の発電規模となる風力発電所「ウィンドファームつがる」建設を担当。建設現場のIT化を積極的に推進する同社は、過酷な本現場での掘削工事にあたり、建設機械と地中埋設物の接触による破損リスクの低減のため、ウィンクス株式会社様と共同で掘削現場用ナビゲーションシステム「埋設物検知システム」を開発。この画期的なシステムの要となる測位機器として、パナソニックが提供する10cm単位程度の測位が可能な「高精度測位ソリューション」を搭載した頑丈7型タブレットTOUGHPAD FZ-M1をご採用いただきました。
FZ-M1の拡張性とコンパクト性が、設置スペースの限られた建設機械運転席においても、行き届いた機器構成を実現
土木管理本部土木技術部
開発企画グループ
課長代理
本田 智昭 様
ウィンドファームつがる
建設工事事務所 所長
明本 守正 様
ウィンドファームつがる
建設工事事務所 副所長(機電担当)
佐藤 知則 様

導入の背景

1周波RTK方式による誤差10cm程度の測位性能を備えたタフパッドFZ-M1は、「高精度測位」を「現実的な導入コスト」でかなえる唯一のソリューション。

長年にわたって建設現場のIT化を推進されている鹿島建設様では、GNSSによる測位システムを導入し、掘削工事現場におけるヒューマンエラーの防止や作業の効率化をかねてから構想されていたそうです。課題とされていたのが、地中埋設物と建設機械との接触を避けるための安全管理が“人によるチェック”に依存していたこと。従来の作業工程では掘削前に埋設物の位置を地面にマーキングし、誘導員が建設機械のオペレーターに注意喚起を行っていましたが、ヒューマンエラーの可能性がつきまとうことや、現場環境によって作業効率が大きく左右されるなどの問題があったのです。さらにウィンドファームつがるは、「周囲に目印が少ない農地」であり、過酷な「豪雪地」であるという条件も重なり、現場から測位システム導入の要望が強くあがっていたと本田様は語ります。
「目印の少ない農地ではマーキングの位置取りが非常に困難です。しかし農地には、水道管や電線などの生活インフラに加え農業用水路といった留意すべき埋設物が多いため、慎重に作業をする必要があります。また本現場は雪でマーキングが埋まらないよう除雪作業を並行して行うため作業員への負荷が大きく、見通しが悪いため埋設物との接触のリスクも高まります。そんな中でも安全に作業を進めるため、“人による安全対策”を補完するシステムが、現場から強く求められていました」。
現場からの提言を受け、本田様は急ピッチでシステム開発に着手。まずは掘削業務で必要な「誤差30cm~1m」という測位精度を備えた測位機器の選定にあたり、当初は一般的な高精度測量機器である2周波RTK式の測位機器も検討されましたが、非常に高額であることや建設機械に車載する運用を考えた場合には機体が大きすぎるなどの課題を抱えていました。そんな時、本田様が調査の末に発見されたのが、パナソニックが提供する高精度測位ソリューションでした。本田様は導入のポイントをこのように語られます。
「1周波でありながら誤差10cm程度という緻密な測位性能を備えており、かつその高い性能を現実的な価格で実現できることが大きな魅力でした。その上で、FZ-M1のOSがWindows10であり、CPUの性能も高いことからシステム開発の際に、当社の既存システムや蓄積してきた開発のノウハウが活用しやすいことも魅力でしたね。国内メーカーなので、デモ機の貸し出しなどもすぐに実現いただき、対応力の面でも安心感がありました」。
また、7型のFZ-M1はコンパクトで建設機械の運転席にも設置しやすいことや、運転時の振動に耐える頑丈性や、雪や雨にも強い防滴性・耐温度性も魅力となり、採用に至りました。

導入のポイント

  • ポイント1 誤差10cm程度の高精度測位を専用機器の1/10以下のコストで実現
  • ポイント2 既存システム資産が生かせ、拡張性も高いWindows搭載のハイスペックマシン
  • ポイント3 小型で頑丈なため建設機械運転席への設置が容易

導入のメリット

降雪時や夜間など悪条件下でもリスクを低減。機器によるダブルチェックにより、人による業務の質も向上。

その後、鹿島建設様では、高精度測位ソリューションを活用して地中埋設物の位置をFZ-M1の画面上にマッピングする「埋設物検知システム」を開発。導入の検討時に重視された導入コストについては、2周波RTKの機種で想定されたコストに比べて10分の1程度まで削減。またデモ機を利用した試験走行では、掘削現場で必要な精度が得られることを確認されたと本田様。「弊社の保有する試験場や、実際の掘削現場での試走実験を行い、誤差10cmという測位精度を実際に体感しました。やはり、FZ-M1しかないと感じましたね」。
そして機種の選定開始からわずか2ヵ月という短期間で、ウィンドファームつがるでの「埋設物検知システム」の実証実験が実現しました。

システムの具体的な仕組みとしては、建設図面上の埋設物の位置・概要をFZ-M1の画面に表示し、FZ-M1を設置した建設機械の現在位置をカーナビゲーションのように高精度測位ソリューションによってナビゲートするもの。建設機械が埋設物に接近した際はFZ-M1の画面にアラートが出るとともに、FZ-M1と接続した運転席のLED警告灯が通常の緑色から黄色に変わって点滅し、オペレーターに注意を促します。また、GNSSの測位精度が確保できない時はLED警告灯が赤に点灯するため、その際は改めて誘導員の指示のみに従うという操作に切り替えます。

この「埋設物検知システム」の導入後のメリットについて、本田様は「システムを活用したダブルチェックの実現によるリスクの低減」と「作業スピード低下の防止」、「作業員の生産性の向上」を挙げられました。
その詳細について、従来の作業工程と比較しながら、事務所所長である明本様にお教えいただきました。

「従来は建設機械の構造上、オペレーターから掘削箇所が見えにくかったため、注意箇所の判断は全て誘導員頼みとなっていました。今回のウィンドファームつがるのように、降雪時や夜間といった悪条件下での作業が避けられない場合には、どうしても見落としのリスクが高まります。しかし、導入後は運転席に設置したFZ-M1で作業現場の足元の状況がオペレーター側でも把握できるため、リスクに注意しながら建設機械を操作することができるようになり、安全性が高まりました」。

風車基礎部の施工状況。この現場では38基の風車を設置するが、風車により発電された電気を運ぶ送電ケーブル設置のための管路掘削工事は、計34kmもの広範囲に及ぶ。目標物のない農地という建設現場において、本実証実験はそのうち8km圏内で行われた。
広大な管路掘削工事の現場では、地中埋設物に留まらず、一般車両の通行や周辺住民の安全確保も重要になる。
画面上に現在地と埋設物の位置をリアルタイムで表示することで、建設機械を操作しながら、オペレーター自身が埋設物の位置を確認できるように。

さらに、作業にあたる誘導員、オペレーターの業務への取り組み方も変化したと事務所副所長の佐藤様は語ります。
「これまでは職員や誘導員の指示に従わなければ埋設物の位置情報を確認できませんでしたが、オペレーター自身で埋設物の位置情報を確認しながら作業ができるようになったことで、作業を主体的に進められるようになりました。それにより、これまでオペレーターへの指示、除雪や通行人への配慮、そして埋設物の確認と、多岐に渡る確認作業を行っていた職員や誘導員の業務にも良い変化が生まれています」。
重要事項である埋設物の情報を、人の目とシステムによりダブルチェックできるようになったことで、一般通行人などの周辺環境へも注意を向けられるようになり、作業環境全体の健全化に繋がったそうです。
さらに、管理者の業務内容にも変化があったと佐藤様は続けます。
「埋設物の位置は管理者の事前調査によって確認が行われるのですが、これまでヒアリング・図面確認、そして試掘によって割り出された埋設物注意箇所は、毎日の作業開始時に口頭の申し送りによってオペレーターへ伝えられていました。それが、全ての埋設物情報を事前にシステム上に登録できるようになったことで、毎日行われていた申し送り業務が不要になり、管理業務において大幅な効率化が実現しました」。
FZ-M1の導入が、オペレーター・誘導員・そして管理者それぞれが自身の業務に集中できる環境を生み出し、人でなくてはできない作業の質を向上させることにも繋がったのです。

このように現場の悩みを一気に解決し、好評を得ている「埋設物検知システム」の実現にあたって、測位精度はもちろん、高精度測位ソリューションとFZ-M1のコンパクトな仕様と拡張性の高さが重要なポイントになったと本田様は語ります。 「今回のシステムは、運転席という限られたスペースに、アンテナだけでなくLED警告灯などのさまざまな機器を新たに設置する必要がありました。これが実現できたのも、FZ-M1が高精度測位ソリューションをパッケージ化したコンパクトなタブレットであったからですね。また、さまざまな外部機器をUSBで接続できたのもFZ-M1ならではのメリットだったと思います。専用の測定器ではここまでフレキシブルにシステムを構築できなかったのではないでしょうか」。 また、風が強く積雪が多いというこの現場は、従来のようなドローンによる3Dマッピングや地上にセンサーを設置する、という方法が取れないほどIT化に不向きな自然環境。その中でも機能する埋設物検知システムの有効性について、本田様はこう続けられました。
「この環境下で、一つのトラブルもなく、安全性・生産性を高められたことは非常に良い成果だと思います。今回の実証実験を通じて、厳しい環境下であればあるほど、有効なシステムだと感じました」。

  • 導入メリット1 誤差10cm程度の高精度測位と人の目によるダブルチェックでリスクを大幅に低減
  • 導入メリット2 確実性の高いマーキングにより、作業の停滞を防止
  • 導入メリット3 現場の「見える化」により現場作業全体の質を向上

TOUGHPADを活用したこれからの展望

都市部においても高精度測位システムの導入を検討。IoTを活用した現場の「見える化」「自動化」を推進し建設業界全体の品質向上へ。

このような現場での手応えを受け、鹿島建設様では今後は農地だけでなく都市部においても、FZ-M1を利用した測位システムの導入を検討されています。
「今後再開発などで建設需要が高まる都市部においても、地中埋設物との接触による破損のリスク軽減に活用できるのではと考えています。都市環境下では、水道管や配線など埋設物の情報がデータとして残されているケースがほとんどですが、さらにこの埋設物検知システムを使用することで、何重もの安全対策が可能になります」。
また、本田様はかねてよりIoTを活用し、作業の見える化・自動化・システム化を推進し、建設業界全体の品質向上を目指しておられました。その中でFZ-M1が他の用途でも活躍するのではと考えられています。
「今回の実証実験で実際に機器を使用した作業員からは、FZ-M1がWindowsを使用していることから、そのメリットを活かした活用アイデアが続々と寄せられています。IT化を進めることで、現場の活性化の兆しが見られたのも収穫の一つですね」。
作業員一人あたりの負担増加や労働人口の減少など、今後の建設業界が抱える課題に対し、FZ-M1のさらなる活躍が期待されています。

関連動画

導入インタビュー①「導入の背景・ポイント」
導入インタビュー②「導入のメリット・今後の展望」

導入機種

頑丈7型タブレットTOUGHPAD FZ-M1
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高精度測位システム
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