コネクティッドソリューションズ社の
「画像技術」

「画像技術」のニーズは右肩上がり

2017年12月に公表された民間シンクタンクの調査(下グラフ)では、画像処理システム関連の世界市場は2016年から大幅に拡大しているという。それまで年率3~5%程度の拡大だったものが、2017年以降の数年間は年率10%程度の拡大が予測されており、市場規模は2020年に1兆6,210億円に達する見通しだ。

その背景にはFA(ファクトリー・オートメーション、工場における生産プロセスの自動化)、画像センシング(技術を活かした情報の認識・解析)の需要の増加が挙げられる。

「画像技術」とさまざまな技術の組み合わせで、ソリューションが生まれる

では、そもそも「画像技術」とはどのようなものなのか。

コネクティッドソリューションズ社
イノベーションセンター
センシング事業統括部
大橋政宏氏

「『画像技術』は大きく2種類に分けられます」。
そう話すのは、パナソニック コネクティッドソリューションズ社のイノベーションセンターで、画像ソリューションの開発にあたる大橋政宏氏だ。2種とは、画像にデジタル信号処理をかけて見やすくする「画像処理技術」と、画像として情報を捉え、映し出されたものが何かを認識・解析する「画像センシング技術」の2つだという。

「人間でいえばカメラが目。目の性能を上げ、必要な情報をより鮮明に捉えるのが『画像処理技術』です。例えば、猛スピードで動く車や、濃霧の向こうにいる人など、通常では見えにくいものを鮮明に映し出します。そして目に映ったものが何であるかを判断する『脳』のような働きを担うのが『画像センシング技術』です」。

コネクティッドソリューションズ社では、「画像技術」のほかにもさまざまな技術を有しており、「技術」と「技術」と掛け合わせることによって、現場課題を解決する新たなソリューションを生み出しているという。

社会課題の解決に貢献する「画像技術」

では、「画像技術」は、ソリューションとしてどのように活用されているのだろうか。コネクティッドソリューションズ社が実現している例をいくつかみてみよう。

・画像鮮明化:見えづらかった人やモノの可視性を高める

「画像鮮明化」の例

まず1つ目は、「画像処理技術」のうち「鮮明化技術」が理解しやすい例だ。

セキュリティカメラや観測用カメラなどの屋外カメラは、天候や時刻によって撮影状況が大きく変化する。たとえば夜間の照明条件が悪いなかでの撮影や、強風や振動で画像がぶれたり、霧や雨で対象が捉えづらかったりなど、悪条件での撮影も不可欠である。こうした状況において活かされるのが、ノイズ除去処理や安定化処理などによる「鮮明化技術」だ。

豪雨の向こう側を鮮明に映し出し、歩いている人の確認を可能にする

上の写真のように、通常では視認が難しい状況でも、鮮明化して画像に映し出すことができる。また動いている車のナンバープレートなど、通常ならぶれてしまいがちな文字も、判別できるレベルに鮮明化することも可能だ。

事件・事故の予防・早期解決に向けたエビデンス(証拠)の確保など、さまざまな現場での活用が期待されている。

・行動解析:人物・物の動きを検知・解析する

行動解析技術の画面イメージ

次は「画像センシング技術」を活かした例として「行動解析」について紹介する。

カメラに映った人や物の動きの特徴をとらえ、どのような行動・状況なのかを解析するのが「行動解析技術」だ。体調が悪そうな人、車椅子に乗った人、ベビーカーを押した人、杖をついた人など、ケアが必要な人を検知したり、不審な動きをしている人や危険物など、警戒が必要な人・物を検知したりできるという。たとえば駅の柱の前に普段は存在しない物体が長時間置かれていることを検知し、不審物としてアラートを出すことなどもできる。

駅など公共の場のセキュリティ対策としてはもちろん、高齢者やケアが必要な人の見守りに活用し、社会の安心・安全をより高めることも期待できるだろう。

・顔認証:同一人物であるか認証する/特定の人物を探し出す

画像:人物の顔を認証

最後に紹介するのは、PCログインなど、一般的な消費者にも身近な使用シーンが増えてきている「顔認証技術」である。顔認証には「1:1認証(捉えた画像と登録画像が同一人物であるかを判定する。PCログインなどはこれに当たる)」と「1:N認証(捉えた画像と同じ人物を、データベースの複数登録画像から検索する)」の2種がある。
前者は、たとえばセキュリティゲートの省人化や効率化、後者は公共の場やショッピングモール、イベント会場などのセキュリティ強化等、現場でのさまざまな貢献が期待されている。

特に難易度が高いのは、認証への協力行動を得にくい「1:N認証」だ。たとえば通行する多数の人の中から、ブラックリストに載っている人物を特定するなどの活用が考えられる。コネクティッドソリューションズ社では、複数のディープラーニング(深層学習)機能を組み合わせ、顔の特徴量を抽出し、正面以外で撮影された顔、マスクや帽子で隠蔽された顔、あるいは経年による変化などがあっても照合できる技術を実現しているという。

技術者が「現場」を肌で感じとる強み

パナソニックは、「画像技術」をはじめ、長い歴史のなかで培ってきたさまざまな技術を融合させ、お客様の現場に合わせたソリューションを生み出してきた。

なかでも大橋氏の所属するイノベーションセンターは、企業・社会の「現場」からの要望と有する技術を組み合わせてソリューションを生み出す、B2Bにおける技術開発の最前線に位置する部門だ。センター内には技術開発にあたる技術者だけでなく、システムエンジニアや、マーケティング部隊が配置され、デザインを担当するデザインセンターと一体となってソリューション開発に取り組んでいる。

コネクティッドソリューションズ社	イノベーションセンター センシング技術統括部 大橋政宏氏

現在は、「画像処理技術」と「画像センシング技術」の掛け合わせを進化させ、時代の先を見据えたソリューション開発に力を入れているという。
「今後も幅広い『画像技術』を武器に、現場の課題を解決し、お客様企業の価値を最大化できるソリューションを提供したい」と、大橋氏。「画像技術」の可能性をさらに進化させていく動きに、目が離せない。

ライタープロフィール

中野渡淳一(フリーライター):1965年、東京都生まれ。さまざまなB2B事例の取材の他、旅やカルチャーなど幅広い分野で、Web・紙媒体問わず執筆活動を行なっている。