導入事例

宮古漁業協同組合様

業務支援システム

魚市場の職員が荷受けした魚の選別・計量を行っている様子。腰に付けたモバイルプリンターからは生産者に渡す受領書を発行する。

魚市場としての価値向上をめざし、取引の電子化を実現。 業務上の滞留時間を削減し、鮮度の高い魚を迅速に広域へ届ける。

  • 流通・小売
  • 農・林・水産業
  • タフパッド/タフブック
宮古市は岩手県の沿岸部中央に位置し、古くから漁業が盛んに行われてきた地域です。宮古漁業協同組合様(以下、宮古漁協様)は、この地で生産者と生活者を繋ぐ市場の運営を行われています。2011年3月11日に発生した東日本大震災では津波による甚大な被害に遭われましたが、その後、魚市場の増築に伴い、荷受けから始まる一連の魚市場の業務を支援するシステムが2017年より導入され、「せり」や「入札」などの業務が電子化されました。その運用端末として、宮古漁協様の職員用に頑丈10.1型タブレット TOUGHPAD FZ-G1が、魚市場を利用する買受人用に頑丈7型タブレット TOUGHPAD FZ-M1が採用されています。従来は手書きの用紙で行われてきた取引を電子化することで業務効率を改善し、“新鮮な魚を広域に出荷する魚市場”としての価値向上などを実現されています。
生産者からの入荷予定情報をもとに、漁協職員は荷受け準備を整える。
宮古漁業協同組合
参事
大澤 春輝 様
宮古漁業協同組合
市場販売 部長
坂下 尚司 様
株式会社SJC
ソリューション事業部
第一ソリューション部 次長
触沢 昇 様

導入の背景

漁港という厳しい環境でも活躍する頑丈性と、ラクに持ち運べる携帯性を両立。新・魚市場の運営をサポートする、唯一の高性能タブレット。

宮古市魚市場に「業務支援システム」が導入される前は、取引の記録はすべて手書き記入の紙による管理が行われていました。複写式の“浜帳”と呼ばれる用紙を利用し、すべての取引情報を同じ用紙に追記していく形式で管理されていましたが、記入や確認・管理などの書類作成上の一連の業務で重複が発生し、業務効率の悪さが懸念されていました。そこで、宮古市魚市場の増築にあわせて、問題の解決を図るべく新しい市場に見合ったシステムの導入に着手されました。

本システムを企画・導入された株式会社SJC様(以下、SJC様)の触沢様は当時をこう振り返ります。
「システムの導入にあたり、端末の選択肢はTOUGHPADしかありませんでした。せりや入札業務は、屋内といえど大量の水がすぐそばにある市場内で行われますし、魚種の計量中などは実際に魚を触ることもあります。さらに、荷下ろしやせりを行う早朝は、気温がマイナス5℃を下回ることも多いため、水への耐性と耐寒性は必須事項でした。また、慌ただしいせりの最中に万が一端末を落としてしまっても問題なく動作する耐衝撃性も重視しました」。

さらに、頑丈性だけでなく、タブレットとしての性能にも高評価をいただいています。
「スピード感が求められるせり時は特に、素早く操作でき、正確な反応が得られることが重要です。そのため、CPU性能が高く、処理速度が速いことも魅力の一つでした。このスペックにおいてFZ-G1は、他のタブレットを上回っていたのです」。

紙で作業されていた方々にもストレスなく作業を進めていただけるよう、直感的な操作ができるタブレットタイプであることも、端末選びのポイントになったそうです。2016年から宮古漁協様、SJC様による検証が開始され、2年弱の歳月を費やし、ついに業務支援システムが完成。2017年には魚市場の増築とともにFZ-G1・FZ-M1を一括導入いただき、「業務支援システム」の稼働に至りました。

せりの様子。荷受け時に作成した販売原票の情報に、せり人の発声を聞きながら、「買受人」「数量・単価」情報をFZ-G1に入力。
せり時にはウェアラブルカメラで映像も記録。
記録端末FZ-G1と併用することで、情報の正確性向上に。

導入のポイント

  • ポイント1 大量の水を扱う市場内で安心して使用できる防滴性能
  • ポイント2 慌ただしい現場で落下等で業務を止めない耐衝撃性能
  • ポイント3 せりのスピードに対応できる高性能CPUの処理性能

導入のメリット

取引業務の電子化により、業務時間削減と職員の作業コストを軽減。従来は3名を要した「せり」「入札」業務が、若手職員1名で可能に。

● 受領書の発行がスムーズに。

宮古市魚市場では、2017年に業務支援システムの実用端末として、魚市場の職員22名にFZ-G1を支給し、市場を利用する買受人にFZ-M1を貸与されています。このシステムを導入して以来、重複作業の多かった従来の業務フローを改善し、効率化を達成することができたといいます。

まず生産者が漁船で魚市場に入港し、【荷受け】した魚の選別・計量が行われますが、従来はその計量結果を複写式の用紙に手書きで記録しており、すべての魚の選別・計量が完了し次第、計量結果の複写された用紙を「受領書」として発行していました。システムの導入後は、FZ-G1に生産者・漁法・魚種・計量結果を入力すれば、モバイルプリンターから受領書を出力し、その場ですぐに生産者へ渡すことができます。

● 「販売通知書」「仕切書」「計量伝票」作成の二度手間を削減。

次に実際の取引である【せり・入札】が行われますが、漁獲量の少ない魚種はせりへ、多いものは入札へとかけられます。ここでは荷受け時に入力した計量データがそのまま販売原票として活用され、その情報をもとにスムーズにせりと入札が行われます。せりの記録はせり人の発声を聞きながら職員が落札額をFZ-G1に入力していき、入札時の買受人による応札は、各人に貸与されたFZ-M1を使用して行います。応札状況は入札室にてリアルタイムに照会され、落札結果は大型モニターや買受人の手元にあるFZ-M1で確認することができます。

【せり・入札】が完了すると、従来は魚市場の電算担当の職員が、手書きの用紙を確認しながら同じ情報をPCにもう一度情報を入力し、電算処理を済ませた「販売通知書」「仕切書」「計量伝票」を別途作成・出力し買受人に渡していましたが、現在はせり結果の記入や落札判定と同時に取引情報が電子化され保存されるため、そのような作業は不要に。

【せり・入札】の結果を「販売通知書」として出力し、トラックスケールなどで計量する【荷渡し】時に「計量伝票」を発行、そして生産者に「仕切書」の発行を行えば、取引が完了。手書きの際には二度手間、三度手間で行われていましたが、電子化により帳票類の作成の手間がなくなり、大幅な効率化が実現しました。これらの変化をうけ、参事の大澤様も手応えを感じられています。

「これまでは書類の作成に1-2時間ほどかかっていましたが、今では電算処理業務そのものを削減することができ、スピーディーな対応が可能になりました」。
荷渡しまでを迅速に完了できるようになったことで、これまで翌日の便にのせていた東京・築地など遠方への出荷が、当日中に行えるようになったこともメリットの一つ。特産品の真鱈を新鮮な状態で、より広域に届けられるようになったといいます。

● 誤入力などの人的ミスを防止。

また電子化によるメリットは、「正確性」という面にも現れています。従来の手書き方式では、記入時の数字の書き間違いや、電算時の誤入力、そして荷渡し時の目視確認など、人的なミスの発生機会が多くありましたが、電子化により正確性が向上しました。さらに、せり時の記録ミスを防ぐため、FZ-G1に内蔵されたマイクで音声を、せり人の装着したウェアラブルカメラで映像を併せて記録し、正確性向上のための体制を整備。FZ-G1からアップロードされた音声データは、魚市場の事務所内のPCでも確認できるため、問い合わせがあった際にはFZ-G1と事務所でのダブルチェックが迅速に行えるようになりました。

これに加え、いつ・誰が入力した情報かを遡って確認できるようになったことで、取引情報のトレーサビリティ性が確保されたことも大きいと坂下様。
「ビジネスの場として魚市場を整備することで、市場を利用する方々からの信頼性が、さらに向上しました」。

宮古漁協様では効率化と正確性の向上により、これまでかかっていた作業コストを、1/5まで削減。さらに、7年間の保管義務のある取引記録もすべてサーバー上で管理・保管することができるようになり、管理・維持にかかっていたコストや、保管スペースの削減にも繋がりました。

実際に作業にあたる職員の方からも、好評の声が集まっています。
「音声とデータで自分の作業記録が残るので、記録漏れや誤入力への不安が軽減しました。また、スピード感のあるせり時にも素早くタッチ入力ができるので、快適に作業することができます。魚を触りながら計量を行うので手が汚れていたり、水がかかってしまうこともありますし、FZ-G1を地面に落としてしまうこともありますが、動かなくなることもなく作業を続けられるので、安心して仕事をすることができます」。

● 買受人の満足度も向上。

当初は電子化に抵抗感を示していた買受人の方々も、メリットを感じられているようです。
「入札額の記入ミスや集計時の確認漏れなどが原因で、希望額で落札できない、ということがなくなりましたね。また、入札時には締切時間に間に合わせるため、市場中央にある投函口まで走らなくてはならないこともあったのですが、FZ-M1を使えば市場内のどこにいても応札することができるので、足腰の弱い年配者でも若手に遅れを取ることがなくなり、安心です。電子化によって、取引の正確性・公平性が向上したと思います」。

  • 導入メリット1 取引業務の電子化により、職員の作業コストを1/5に削減
  • 導入メリット2 作業時間短縮により、鮮度の高い魚を、広域に出荷可能に
  • 導入メリット3 取引の公平性が向上し、世代・立場を超えて活躍できる環境に
手が濡れていても「水滴モード」を使用すれば、細かな入力もスムーズに。
入札情報は魚市場に設置された大画面に表示される。
端末の使用方法をきっかけとした意見交換が活発に。熟練職員と若手職員との交流だけでなく、買受人に使用方法をレクチャーする講習会を開催するなど、魚市場内のコミュニケーションの活発化にも貢献。
手袋モードを使用すれば、ゴム手袋での操作も可能に。「冬場の作業時に活用したい」との声も。
入札時の様子。それぞれに支給されたFZ-M1に応札金額を入力すると、入札手続きが完了する。

TOUGHPADを活用したこれからの展望

タフパッドを利用した「衛生管理システム」を実装予定。次世代の魚市場をタフに支える。

多くの方から喜びの声を聞き、システムによる改善の手応えを感じている宮古漁協様では、さらに新たなシステムの実装に向け、現在具体的な検証が始まっています。

それは「業務支援システム」に、さらに「衛生管理システム」を付加するという計画。職員が行った衛生管理をそれぞれのタブレットに入力することで、魚市場全体の衛生管理状況をサーバー上で一元化しようというものです。これまでの衛生管理は担当者が紙に手書きで記録し、行政機関や漁業組合に提出していましたが、電子化することによって、資料の管理・提出がスムーズにできるように。宮古市魚市場は、日本で初めて社団法人大日本水産会「優良衛生品質管理市場」、そして岩手県産地市場衛生管理「HACCP対応指針」適合市場に認定された魚市場です。その誇りを持って、今後も魚市場としての信頼性をさらに高めていきたいと、大澤様は語ります。

「漁業界の向上に向け、生産者や買受人の方々の間でもIT化が推進されています。魚市場という立場である我々が、いかに安心して取引ができる環境を整えるかということが大切です。TOUGHPADによって魚市場の価値を向上させ、未来の漁業を支えていきたいですね」。

海洋環境や水産資源の変化への対応が急がれるなか、IT化による新しい漁業の取引スタイルが生まれはじめています。

導入機種

頑丈7型タブレット TOUGHPAD FZ-M1
同シリーズの最新機種はこちら
頑丈10.1型タブレット TOUGHPAD FZ-G1
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