札幌市消防局様

救急活動支援システム
訪日外国人の救急ニーズに対応するため、現場のコミュニケーション支援端末としてタフパッドを導入。円滑なやりとりで、救急活動の速さと精度向上に貢献。

導入インタビュー

導入事例「札幌市消防局様 救急活動支援システム」関連動画 01 - Panasonic
①「導入の背景・選定のポイント」
導入事例「札幌市消防局様 救急活動支援システム」関連動画 02 - Panasonic
②「導入の背景・選定のポイント」

救急救命の最前線をタフさで支える、隊員の携行端末として導入。
インバウンド対応の改善などにより、救急活動の速さと精度を向上。

約200万人が暮らす国内5番目の都市であり、年間1400万人近い観光客が訪れる国内有数の観光地でもある札幌市。この大都市で発生する年間9万件以上の救急要請に迅速に対応し、暮らしの安心を支え続けているのが札幌市消防局様です。しかし都市部の高齢化が進む近年は、救急出動件数が毎年増加しており、また訪日外国人の増加により外国人傷病者とのコミュニケーションの問題も浮上してきました。高度化・複雑化する救急現場の課題に限られたリソースで柔軟に対応していくため、札幌市消防局様ではICT活用により業務効率化を目指す取り組みをスタート。救急隊員の携行端末として頑丈7型タブレットTOUGHPAD FZ-B2を導入されました。

写真:警防部救急課 村西 拓海 様
警防部救急課
村西 拓海 様
写真:出動前の消防車
写真:振動や低温、高温環境にも強いため、救急車の助手席シート脇に常備。
振動や低温、高温環境にも強いため、救急車の助手席シート脇に常備。

導入の背景

訪日外国人が急増する街の新たな救急ニーズに対応するため
現場で使えるコミュニケーション支援端末として導入。

札幌市消防局様のICTによる業務効率化計画において、優先テーマの一つとされたのが外国人傷病者とのコミュニケーションの改善です。札幌市には年間約200万人の外国人が宿泊客として訪れており、2017年2月の冬季アジア札幌大会開催時にはさらなる増加が見込まれたため、救急現場でのコミュニケーション課題の解決は急務と位置づけられました。「従来は救急隊員が、英・中・韓の3ヵ国語に対応したコミュニケーションボードを携行し、患者さんに指差してもらうことで症状確認などを行っていましたが、この方法では情報収集に限界がありました。また訪日外国人の多国籍化が進み、とくにアジア圏からの来訪者が増えたため、3ヵ国語では対応が難しくなっていました」。ICTの取り組みを推進されている救急課の村西様は、従来の課題をこのように語ります。

札幌市消防局様ではかねてよりこの問題の改善を目指し、消防庁消防研究センター等と共同で救急隊向けの多言語音声翻訳アプリの開発を推進。このアプリは話し言葉を30言語に自動翻訳できるうえ、救急現場で頻出する質問と回答の定型文も15言語まで表示でき、騒音などで言葉が通じにくい現場でも意思疎通を可能にします。しかし、問題はその翻訳アプリをどの端末で運用するかという点でした。「救急活動は、雨や粉塵などに影響を受けることもあります。雪道でスリップして端末を落としてしまうかもしれません。そうなると、一般的なタブレットでは運用が不安です。また、救急隊が使用する機器は、バッテリー切れで使えないという状況は絶対に避けなければなりません」。札幌市消防局様ではこのような条件でさまざまなメーカーの端末を比較検討され、頑丈さのスペックに安心感があり、バッテリー交換もスムーズに行えるTOUGHPADに注目。さらに、データの抜き取り防止のためUSBポートの使用を無効化できるデバイスマネジメントなどもニーズに合致し、FZ-B2の採用が決まりました。

写真:共同開発された翻訳アプリによって外国人傷病者とのコミュニケーションを円滑化。
共同開発された翻訳アプリによって外国人傷病者とのコミュニケーションを円滑化。
バッテリーの着脱が誰でも簡単に行える点、その後の起動時間の短さは、とくに評価いただいたポイント。
バッテリーの着脱が誰でも簡単に行える点、その後の起動時間の短さは、とくに評価いただいたポイント。

導入のポイント

  • 救急の現場で耐える防塵・防滴・耐衝撃性能
  • 業務を止めない迅速なバッテリー交換
  • データ漏洩対策にもなるデバイスマネジメント

導入のメリット

外国人傷病者とのやりとりを円滑にし、救急対応の精度を向上。
隊員に最新情報を共有する電子マニュアル機能も実装。

  1. 外国人傷病者とのコミュニケーションの円滑化
  2. 情報の一括管理による管理業務の効率化
  3. 最新情報に基づく救急活動の精度向上


札幌市消防局様では現在、32隊の救急隊にそれぞれ1台ずつFZ-B2が配付されています。外国人傷病者が発生した際には、隊員がFZ-B2を取り出し、翻訳アプリを使用して詳しい状況をヒアリング。ほとんどの基本的なやりとりは用意された定型文で行えるため、隊員はスムーズに必要な情報を聞き出すことができ、搬送や応急処置、病院への連絡など、そのほかの救急業務に専念できるようになりました。導入前に何度も繰り返しシミュレーションを行って仕様や使い方を決定されたため、非常にスムーズに導入・運用できているそうです。冬季アジア札幌大会が開催された2017年2月には、22人の外国人傷病者に翻訳アプリで丁寧に対応することができました。

またFZ-B2の運用開始にあたっては、必要なアプリのみを表示させたり、紛失時にリモートロックを行ったり、Webブラウザの閲覧を制限するなど管理者側でのマネジメントが不可欠だったため、アルテリア・ネットワークス(株)様のMDM(Mobile Device Management)システムが導入されています。村西様はそのMDMによるコンテンツ配信機能を活用して、マニュアル類の電子化にも取り組まれました。「救急活動には多くの情報が不可欠です。大型施設のどこに駐車するとスムーズに搬送できるか、イベント時にどの道が交通規制を受けるか、病院の受け入れ時間や条件はどうなっているかなどの現場情報は常に変化し続けており、隊員は最新の情報を把握しておかなければなりません。従来はこれをプリントアウトされた紙やメールで配信していましたが、受け手側がしっかり整理できていないと迅速に活用できない可能性もあったのです」。現在は画面上のアイコンをタップすれば、いつでもカテゴリー別に収められた、病院や道路、各種マニュアルなど最新の情報にアクセスでき、不慣れなエリアで活動する隊員もこれを閲覧すればスムーズな救急活動が行えるようになっています。また新着情報は注意喚起のため、画面上にテロップ表示されます。この電子マニュアルは実際に利用されている隊員の方からも「わかりやすい」と非常に好評で、隊員側からも「もっとこんな情報を掲載するべきだ」という提案が次々に寄せられるようになったと村西様は語ります。

写真:(導入前)整理した資料ファイルを開いている様子
(導入前)
写真:(導入後)これまではプリントアウトしてファイルなどに整理していた各種資料がFZ-B2でいつでも最新を閲覧できるように。
(導入後)これまではプリントアウトしてファイルなどに整理していた各種資料がFZ-B2でいつでも最新を閲覧できるように。

TOUGHPADを活用したこれからの展望

さらなる精度向上を目指し、
病院との連携を強化するシステム構築を順次スタート。

札幌市消防局様では、今後はFZ-B2を活かして病院との連携をスムーズにしていく仕組みを構築したいとお考えです。例えば傷病者の情報伝達。現在は救急車内で患者さんの心電図を取得した場合、携帯電話のTV電話機能で病院の医師に伝達していますが、医師からは「もっと大きな画面で12誘導心電図を見たい」との要望があります。今後はAndroid™OSを搭載したFZ-B2を軸に画像伝送システムを構築し、心電図の波形や負傷状態をよりクリアに伝えられるのではないかと期待されています。このように新しい機能を実現したい場合などは、アプリの追加により、タブレット1台で複数のシステムを運用することが可能なので、スペースに限りのある救急車には適しているとお話しくださいました。FZ-B2を通じて、新たな救急活動の構想がいま広がりを見せています。

写真:緊急性の高い患者さんの心電図などをより正確に、いち早く病院の医師に伝えることができるシステムを構想中。
緊急性の高い患者さんの心電図などをより正確に、いち早く病院の医師に伝えることができるシステムを構想中。

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